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堕落への覚悟を決めたが故に、香菜子の霞が少し晴れ、女の顔を見ることができた。この女にどこかで会ったような気がする。この顔、どこかで……?
「――便器の便子ちゃんになったんだから、もういいじゃん? しゃべっちゃえば。……元、藤倉香菜子ちゃん、だっけ?」
(……、……。……!)
見据えた女は尊大な笑みを口元に湛えていた。
端から知っていた。知られていた。ケン兄の驚きの声は聞こえない。獣たちも何も言わない。皆が知っていた。何もかも知っていた連中に姦された。
「そ、そんなっ……、んあっ!!」
知っていた、が頭を巡る香菜子が何かを言おうとした時、女が打突を浴びせて容易く絶頂へと送り込んできた。絶望で無防備になった頭の中を快美の電流が走り、脳の隅々まで伝播していく。
「んっ、イイ顔っ。だいじょうぶっ……、悪いようにはしないからっ。あんっ、……私が、肉便器よりはマシな存在にしてあげるねっ。……あはっ、もーやだ、超気持ちいいんだけどぉ……」
制圧の歓喜を滲ませて、女は全く緩めることなく腰を使い続けた。