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梟が乞うた夕闇
【鬼畜 官能小説】

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-4

 明らかに、深雪はわざと陽介の集中を殺いできていた。そうこうしている間に、ヤバいオーラを放っていた男が内ポケットからグロックと思しき銃を取り出す。
「向こうもグロックですか。民間にも普及してるんですね。……あ」
 陽介が銃口を向けた時、取り巻きがまた一人、脇腹に被弾して体を折った。防護壁が崩れると、タイミングよく弾音が聞こえた。耳の後ろに開いた穴から鮮血を流して美羽が後倒する。社長、と誰かが呼びかけるも、美羽はピクリとも動かなかった。
「あー……、当たっちゃった」
 はしゃいでいた深雪が静かになって呟いた。この距離から窺っても、弾は脳幹を捉えたようで、どう見ても美羽はこと切れていた。
 勝鬨を上げたチンピラたちが、原付を発進させる。
「ねぇ、あいつら――」
 深雪が何か言おうとする前に、陽介は二度引金を引いた。サイレンサーの乾いた音。チンピラがたちが後ろに吹っ飛び、主を失ったバイクが路駐されていた車に激突した。
「……一発余りました」
 安全装置を入れて銃身を持ち、握り手を差し向けた。深雪は白いジャージに鮮血を散らして大の字に倒れているチンピラたちを眺めていたが、先に蹴飛ばされていた主婦が何が起こったかを理解し、もう一度絶叫したから、眉間を寄せたまま部屋の中を指差した。
 部屋の中では女がソファに蹲ってガタガタと震えていた。
「……照準は?」
 バッグにしまう前に、深雪が虚空へグロックを構えて問うた。
「正直、結構狂ってましたね」
 深雪は震える女へ目を向けないまま、
「……もう、ホストなんかに狂っちゃダメよ? それから――」
 と言ってから、身体の軸を寸分ズラすことなく反転させると、陽介へと銃口を向けた。「今晩泊まらせてもらうからよろしく。……コノ子は宅配業者サンが引き取りに来る、ってことになってたんだけど、奴らに伝言。『商売道具を丁重に運べないバカは外せ。コノ子は監禁凌辱モノが好きな変態覗き魔が、夜襲って来ないように私が預かる』って」
 グローブを外していた陽介は、あまりにもしつこい深雪に失笑して、斜背を向けて目線を逸らし、
「何もしませんよ」
 と言った。深雪に背を見せたのは、まだジーンズの中で男茎が痛いほど漲っていたからだ。
 銃口を向けられて。
 確かに深雪の言う通り、変態だ。
「ウソツキ野郎の言うことは信じられないな」
「っていうか、冗談ですよ。覗いてなんか――」
「ウソツキ。人殺したことあんじゃん」




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