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梟が乞うた夕闇
【鬼畜 官能小説】

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 代われ代われと獣一人ずつが張型を抽送し、その都度香菜子は絶頂へ送り込まれていた。破滅的な快楽を間断なく食らわされて、まだ全身がビクビクと痙攣しているのに、
「ああっ、ま、待って、まだぁっ……、う、動かしちゃやだっ!」
 張型が緩やかに引かれ、性感の尖った襞壁を擦られると、身が弾け飛んでしまいそうになった。脚の間からチョロッと放物線を飛ばす香菜子を下品な笑いが包み、誰のものかわからぬ精液に塗れている瑞々しい肌へ、お構いなしに舌が這わされてくる。
 これ以上ないほど真上を向いた乳首、性感を充溢させた雛先はもちろん、腋窩や足趾の間にまでふんだんに唾液のヌメりを施されていた。無数の蛞蝓が体じゅうを這い回り、暗澹たる絶頂の高みへ香菜子を留まらせ、ゆるゆると再開される張型のピストンが、全身の筋肉を痙攣させた。
 目眩めましい視界の端に、黒ずくめの男が映った。次にあの男が訊問してきたら……その瞬間に張型を打突されたなら――白を切る自信がなかった。
 こうやって監禁され、責苦に遇っているのは、捜査官として未熟だった自分の落ち度だ。正体が知られれば、組織に迷惑がかかる。深雪に。ならばいっそ、張型を喉まで貫き、串刺しにして殺して欲しい……。
 不意に重い扉が閉まる音がした。いつの間にか開いていた入口から、誰かが入ってきたのだった。
「おおっ、準師さまぁっ」
 蛞蝓が離れていく。抽送も中断された。
 ジュンシ?―― 覆い被さっていた強姦者たちが左右に分かれると、凌辱が止んで幾分正気を取り戻した香菜子の正面に人影が見えた。
(……!)
 シルエットで分かる。女だ。影となって、顔は見えない。
 背はそれほど高くない。髪はショートボブ。裾の長い上着を靡かせ、ヒールをコンクリート床に鳴らして近寄ってくる。
「うっわ! イッカくさっ」
 声が若い。サーチライトを背負い、鼻をつまむ真似をしている女は、部屋の中の全員に恭しく迎えられている。「……どぉー? うまくいってる?」
 背筋を伸ばしていた黒ずくめの男が早足で側に寄り、
「はい。順調です」
「ふぅん……、ほんと?」
 女が香菜子を向いた。じっと、鑑賞されているというよりは、検分しているような視線だった。
 やがてシルエットが震え始める。肩を揺すっていた。遂に堪え切れなくなった女は、
「きゃはっ」
 腹を抑えると、身を折って笑い始めた。「ドッロドロ。きっ、……あはっ、……きったないの、な、なにそれ、そんなぶっといの入って、は、……ひっ、んくく……、入ってんのに、抜けないって。……もぉ、やめて、ホント、ウケるんだけど」
 衣服を毟られ、肌に精液を撒かれ、割られた脚の間に小水を垂れ流し、花唇が張型を咥えている様を見て……、女は爆笑するあまり引攣笑いになっていた。
「準師様、あまりここにいらっしゃってはいけません」
「んー、なんで? ケン兄」
「それは準師様のお作りになられた……」
「ああ、媚薬ガス? だいじょうぶっ、ケン兄と一緒。ワクチン打ってんに決まってるじゃん?」
「ですが、何があるかわかりません。ここには邪な獣が溢れています。念には念を……」
「もぉ、ケン兄ってば、心配性ー。それに今は別に準師様ぁなんて呼ばなくてよくない?」
 いちいち語尾にキャハハと笑い声を付している。
 ケン兄。キョシでもヘビ夫でもない、それがこの男の名のようだ。
 そしてこの女は誰だ? あれだけ淫楽に浸っていた獣たちをその存在だけで静止させ、首領たるケン兄が恭順している。明らかに、この連中に対し、遥かに高位にあるようだ。
 そして女は言った――媚薬ガス。
 そんな物を撒かれていたということだ。催淫作用のある気体とは聞いたことがない。ワクチンと言っているということは、ウイルスの類か。目を覚ました時に感じたあの異様な蒸し暑さは、そのガスを吸わされたことによるものだったのだ。
 つまり、今のこの惨めな姿は、そんな卑劣なガスによって惑わされたものであって、生来の気質ではない。そう思うと、挫けそうであった香菜子の気力が蘇ってきた。
「あ、あなたっ。や、やめさせて」


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