投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

悪徳の性へ の最初へ 悪徳の性へ  112 悪徳の性へ  114 悪徳の性へ の最後へ

〜 御挨拶 〜-1

〜 御挨拶 〜




 ポン、ポン、ポン、ポーン。

 頭の片隅、遥か彼方で時報が朝をつげるなり、脳の目覚めをまたずに瞼がひらく。 寮で過ごした2年という歳月は、身体レベルで雑多な習慣を身につけさせてくれた。 時計は6時50分。 『御挨拶』が始まる7時まで、あと10分ある。

「う、うぅ……」

 ベッドの下から微かな呻きがした。 昨日から同室になった、後輩の『恵子』こと33番だ。 畳に直に丸まって、うっすらと目を開きつつある。 室内着から出た手足には、微かに畳の目の跡が残っていた。 あたしことB33番はベッドから降り、恵子の室内着をソッとまくる。 お腹、乳房、お尻……やや赤みを帯びた肌だ。

「……ふぅん」

 肌につけた鞭の痣は、よく目を凝らさない限り分からないまでに薄くなっていた。 あたしが上手に鞭を振るったのもあるし、恵子の肌も丈夫な方なんだろう。 張りがあっていい音がして、叩き甲斐のある肌だったのを思い出した。
 
 だがしかし、肌とは違って頭の回転は上等ではない。 昨夜わざわざ用を足すため、寮から連れ出してあげたのに、結局外では何もできなかった。 もともと膀胱が大きくて、我慢が効く体質もあるのだろうが、せっかくの思い遣りを反故にされたようで、寂しかった。 

 ちなみに寮の初日、新人のおしっこは大抵『セルフ』で済ませることになる。 『セルフ』とは、廊下に備えてある細いホースを股間にあてがい、自分の膀胱から一旦尿をだし、ホースの反対側を口に咥え、尿を再度胃袋に収めること。 要するに自分の尿を自分で呑むことになる。

 あたし自身、新人の頃は回りが全部敵に見えて、ずっと警戒していた。 だから、恵子があたしに対して深読みするのはよく分るし、その姿勢が間違っているというつもりはない。 けれど、冷静に考えてみればわかるのだが、寮は集団行動が原則なのだ。 恵子が早く一人前になってくれないと、人前で粗相をされてしまえば同室のあたしも指導される。 である以上、あたしが完全に恵子の敵であるわけがなくて、ある程度は味方に決まっているのだ。 それくらいのことは、早く自分で気づいて欲しい。

 こういう機微は、言葉で伝えては逆効果なのだ。 往々にして『私は貴方の味方だ』と伝える人物こそが、真の敵だったりする。 闇雲に可愛がったり、甘くしたり、鞭を控えるつもりはない。 優しくするだけで乗り切れる寮生活ではないからだ。

 朝は特に忙しい。 一分一秒を気にするべきなのに、恵子が起きる気配はない。 
 朝が弱いのだろうか? それとも、昨日身体を酷使しすぎて疲れが残っているのだろうか? もちろん両方なんだろうけれど、だからといって寝たままでOKにはなりやしない。

「朝よ。 さっさと起きな」

 ゲシ。 

 軽くお腹を足でつつく。 

「う、う……」

 もぞもぞ。 変化がない。

「コラ。 朝になったっていってんだよ」

 ゲシゲシ。 さっきよりは強くお尻を蹴とばす。

「はふ……うぅん……」

 もぞもぞ。 丸くなる恵子。 天然のパーマがかった栗毛がはねるばかりで、顔をあげる気配はない。 改めてあたしはげんなりする。 どんくさい後輩ほどカワイイ、と寮長先輩は仰っていたが、同室の身としては機転がきく後輩の方がずっといい。

「さっさと起きる!」

 パァンッ。

「あうっ!? あっつ、あ、あの……」

 パァンッ。 

「おはよう。 目覚めた?」

「つうっ! おっ、おはようございますっ!」

 栗毛をひっぱって無理に顔を起こし、平手を2発お見舞いして、ようやくパッチリ目が開いた。

「それで?」

「えっ……あの、その、き、今日も一日よろしくお願いします」

「そうじゃなくてさ〜」
 


悪徳の性へ の最初へ 悪徳の性へ  112 悪徳の性へ  114 悪徳の性へ の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前