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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 潜水 〜-3

「先ほどは三助ご苦労様。 お蔭で大分綺麗になったと思うのですが、どうにも角質が厚くなってしまっていて、あれだけでは足らないんですねえ」

「こぽっ……けほっ」

 少しでも顔を浮かそうと、身体を沈めて海老ぞりにしている。 私は腰から下を浸けているだけだから温度が丁度いいけれど、あれじゃあ熱過ぎやしないだろうか?

「お湯でほぐせば大分取れやすくなるんです。 あとは貴方がお湯に潜って、口を使って優しく拭ってくださいな。 タオルやスポンジで擦るともう痛くって痛くって……ピカピカになるまで舌で磨かせてあげますからね」

「あの……けほっ、それは、お、お体全部でしょうか」

「勿論♪ 脇の下、膝の裏、肘も指も足も全部……そうそう、お尻と膣の穴は、特に念入りにお願いしようかしら。 お湯だけじゃなくて、貴方の唾でふやけるくらい、たっぷりと、ね」

「ううっ……けほ、けほっ……わかりました」

 湯気のせいだろうか。 水が目に入ったからだろうか。 B30番は真っ赤に腫らした兎の眼だ。

「息継ぎはなるべくしないでおきましょう。 だってほら、一々中断されたら、お風呂好きな私でものぼせるかもしれませんし。 せっかく気持ちよくなったところで途切れ途切れだと、イライラしてお肌に悪いものです。 だいたい息継ぎなんて貴方の都合なんですよ。 本当なら一切禁止してもいいくらいですからね。 頑張ってください」

「は、はい……が、がんばりますっ」

「両手は頭の後ろに回しなさい。 絶対に離したらダメですよ。 一瞬でも離すたびに、鎖を5センチ短くしてあげますから、気をしっかりもちなさいな」

「ひっ……は、はい……!」

 海老ぞりな姿勢のまま、背筋をつかって手を湯船の底から離し、頭の後ろに回す。 支えを失った上半身が前後し、波が鼻にかかる姿がとてもいい。

「よーい――はじめ♪」

 ポチ、ポチ。 私は鉄球の『赤ボタン』を2度押した。 
 シュルルッ。 内臓のリールにより、鉄球から伸びた鎖が10センチ縮まる。

「ふぐっ!? むぐっ、ごぼっ……」

 それまで辛うじて浮かんでいた顔が水に飲まれた。 もうこれで、鉄球を持ち上げない限り絶対に息継ぎはできない。 私が鉄球を支えたり、気まぐれで鎖を伸ばさないかぎり、B30番は永遠に水の中だ。 鎖の長さを知ってか知らずか、B30番は私の肢体に顔をうずめた。 まずは足を掃除するようだ。 足の先端へ向かって口が動く。

 ぼこ……ぺろ、れろ……ぽこぽこ……。

 舌がチラチラ水中で見え隠れし、その都度気泡が洩れている。

 ……。

 水中に潜り、相手の身体中を舌で掃除する『潜水艇』プレイである。 21世紀初頭に流行したソープ・プレイの1つ『潜望鏡』よりも、はるかに肉体的負担のかかる高度な舌技だ。 1回の息継ぎで最低でも2分は舐め続けない限り、私は次の息継ぎを許さない。 舐めて舐めて舐め続けて、ようやく鎖が伸びる音がする。 そうするとB30番は水面ギリギリまで浮かんできて、水を飲みながらの息継ぎが許される。 そうして30秒もすれば、再度鉄球の『赤ボタン』を押し、水中世界に戻ってもらう。 息継ぎがしたければ、それなりの誠意を見せることだ。 舐めやすい場所ばかりでは、永遠に『潜水艇』は終わらない。 脇や足の裏といった汚れが溜まりやすいところも、しっかりきっちり舐めてもらう。 
 肺活量が弱かったり、気力がなくて手を後頭部に固定できなかったりすれば、どうなるか。 もちろん水中で必死になってもがくのだけれど、もがいたところで事態が解決することはない。 私が鉄球を持ち上げる助けをするわけがないし、例え首一つで鉄球が持ち上がったとしても、私が足を鉄球にかけて引き下ろし、そんなズルは許さない。 要するに十分に舐めることができない場合、呼吸困難で気絶する。 私ルールでは、3回の気絶で『潜水艇』を止めることにしている。 逆にいえば、1回気絶したくらいでは引っぱたいたり、冷水をぶっかけたり、それでも目を覚まさなければ人工呼吸で起こし、再度『潜水艇』をさせる。 不思議なもので、ほとんどの生徒は1回気絶すると別人のように頑張りだし、私を満足させようと足掻くのだ。 
 30番も、5分と持たずに気を失った。 冷水をかけると目を覚ましたので、舌洗いを再開させたところ、20分近くかかってどうにか全身に舌を這わせるところまでいった。 そろそろ私もお湯を堪能したし、B20番は茹蛸のように真っ赤になるし、時折白目を剥いて朦朧としている。 そろそろ深夜のお風呂も潮時だろう。 

 ……。
 
 B30番の首輪から鎖を外し、湯船の外へだしてあげると、そのまま縁に突っ伏してしまう。 ちゃんと部屋に戻れるだろうか? 心配だが、せっかく温もった体をB30番にかまけて冷やすのも不本意だ。 苟もBグループ生なのだから、あとは一人でどうにかできるだろう。

「浴場と食堂の明かりはつけておきましょう。 あとの掃除はキッチリして、それから就寝すること。 それではね。 また明日」

 いいお湯だった。 腰から下を温めるには、熱いくらいが丁度いい。 スッキリした髪を束ね、私は浴室をあとにした。
 
 けぽっ……こぽっ……。

 何やら胃の中のお湯を戻すような気配が背後でしたが、きっと気のせいに違いない。 


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