ゲームの行方-2
放課後、その相手が目の前に来た。
「折原 柚香さん、俺と付き合ってください。」
ありきたりな告白だけど、初対面ということもありそれ以上言うこともない。
さっさと返事を・・・と思ったのだが目の前の相手は固まっている。
まぁ・・・初対面の人間に突然告白されても困るよな。振られるってのは面白くないけど、こんなゲームとっとと終わらせてしまいたい。そう思い
「駄目・・・かな。」
待ちきれず、彼女の顔を覗き込み聞いてみた。
すると
「い・・・えっ、駄目なハズないですっ。嬉しいです。ほんとに!」
頬をほんのり紅く染め、嬉しそうに笑顔を見せる。
その表情が余りに綺麗で、俺は一瞬見蕩れてしまった。
その後はお約束のアドレスと携番交換。
正直、俺は告白を今までされてきてあんな嬉しそうに返事をしたことはない。
だから、あの時の柚香の表情がとても印象的だった。
だけどその疑問は次の日の柚香からの告白ですぐ知ることになる。
ーーーずっと、先輩の事が好きだったんです。ーーー
昨日と同じように嬉しそうに頬を染めながら話す。
ああ、なるほど。
でも、もともと自分に好意を持っている奴に告白したんじゃ賭けとしてどうよ?
と思ったが・・・。
柚香の笑顔を見たら、本当傲慢だと自分でも思うけどこのまま付き合ってみてもいいかなって。
柚香の悲しむ顔を見たくないかなって。
なんとなく、そう・・・なんとなく今はこのままで・・・。
「くしゅんっ。」
帰り道、横で柚香がくしゃみをした。
今日は結構寒いからな・・・と思い自分の着ていたコートを肩に掛ける。
「風邪、ひくなよ。」
そう声を掛けると遠慮がちに俺のコートを握り締める。
「大きい・・・。」
なかなか袖を通さない柚香にしびれをきらしコートを着せるとかなり彼女には大きかったらしい。
首をちょこん、と傾げながら袖をパタパタと振っている。
なんだかその仕草が可愛らしくて思わずぎゅ・・・っと抱きしめた。
柚香からは、なんていうかお日様のような優しい匂いがして心地がいい。
離れ難くてそのままの姿勢で週末の約束を取り付ける為、「週末用事ある?会いたいんだけど。」と言うと
「いいえ、ありませんっ!もう暇で暇でしょうがないんですっ!」
顔を真っ赤にした柚香が自分を見上げながら必死で答えてくる。
その表情がなんだかツボにはまって、俺は思わず吹き出してしまった。
そんな俺の反応に「?」がいくつも頭の周りに飛んでいるような顔をした柚香になんともいえない感情が押し寄せて来る。
気付けば、自然に自分の手を柚香の頭に乗せ
「いやいや、ホント。柚香って可愛いよな。」
思ったことがそのまま口から出てしまう。