バイプレーヤー E-1
「Aさんからの紹介なんだが・・・」
マネージャーはいつになく歯切れが悪い、Aと言えばさおりの上得意、国民的と言って良いほどの人気アイドル・俳優だ、さおりもファンであり、顧客としても上質、何の問題が?・・・
「Eさんを知ってるな?」
「はい、良くドラマにお父さん役で出てる人の良さそうな・・・」
「そうなんだ、Aさんも彼の人柄については太鼓判を押してくれるんだが・・・」
「ロリータ、お好きなんですか?」
「そうらしい、ただね」
「ただ?」
「物凄い巨根らしい、ベテランのソープ嬢からも嫌がられるくらいの・・・」
「私ではお相手しきれないと?」
「Aさんもそこを心配してるんだ、でもね、Eさんが実質諦めてるのを見ると、君を知ってるだけに可愛そうになるらしい」
「それほど切望されていると?」
「そういうことだ」
「それならばぜひ」
「そう簡単に考えてもらっては困る、何しろ君は今やウチの売れっ子だ、組織にとっても財産なんだよ」
「はあ・・・」
「それで考えたんだ、君の次に若い・・・と言っても18歳だがね、あかねを一度派遣してみようと思う、それで行けそうだと思ったら改めて君に行ってもらうことにするよ」
「わかりました、その時はぜひ」
「ああ、そう言ってくれると嬉しいね」
しかし、派遣されたのはあかねではなかった、派遣されたのは母の早百合、早百合自ら買って出たのだ。
「確かに規格外のサイズではありました、でも外人さんだともっと大きい人もいらっしゃいましたし・・・」
「さおりでもOKかな?」
「そうですね・・・なんとかギリギリ・・・」
「ギリギリか・・・危険は冒せないな・・・」
そのやり取りを聞いていたさおりは残念に思う。
E氏が演じる役柄は概して優しいお人好し、Aはそのままの性格だと言う、それに自分のようなロリータを抱いてみたいという願望が切実なのであれば・・・。
「料金を頂けばお仕事ですが、頂かなければ・・・」
「ウチは慈善事業をやってるわけじゃないんだよ」
「ちゃんとできれば正規の料金を頂きます、私も壊されるのは嫌ですから無理はしません、Eさんにもその事はご承知していただいて」
「なるほど・・・」
「それほど切望していただいているならフェラだけでも・・・」
「じゃ、こうしよう、ウチも赤字は困るからね、出張料金だけはきちんと頂く、フェラ云々はさおりに任せるし、ちゃんとお相手できたら正規の料金を頂く・・・お相手できなければ君のギャラは無しになるけど?」
「結構です」
Eとは彼の自宅で落ち合った。
人気者の場合はカメラマンに張られている可能性があるのでだめだが、Eの場合は出演数こそ多く、親しまれているものの脇役専門、60近くなって未だに独身だが過去に浮いた噂もなくゴシップの対象にはならないのだ。
Eの自宅は郊外の住宅地、家もごく当たり前のこじんまりとしたもの、もっとも、1人で住んでいるのだからそれで充分なのだが。
ごく当たり前の住宅地であり、夜9時とあれば人通りも多くはない、合図のワン切りを送って辺りを見回すと誰も歩いていない、さおりは音を立てないようにドアを開けて入り、そっとドアを閉めた。
その小さな音を聞きつけたのだろう、Eが玄関に出てきた。
Aが言うとおり、ドラマで見るのと変わらない柔和な顔、着ているものもこざっぱりとはしているがごく普段着だ。
「良く来てくれたね、さおりちゃん」
「あ・・・ありがとうございます」
こちらが挨拶する前に挨拶されてしまった。