4.月は自ら光らない-19
「また、クミちゃんって言ってる」
と言って、湯気が立ちそうなほどヌメってヒクついている男茎を口で覆い、残っている精液を吸い上げると、徹はもう一度大きな喘ぎ声を上げた。チュバッ……、とわざと淫猥な音を立てて口から抜き取って、優しく握ってゆっくりと扱きながら徹を見上げる。
「……顔にするの好きになったの?」
「あ……、う、ごめん……」
「謝らなくてもいい。……出してる時、『俺のだー』、って感じ?」
「わ、わからないけど……、なんか、すごく……、したくなる」
「やっぱり、徹が支配欲に目覚めちゃったんだ」紅美子は胸元に垂れた髪に白濁の雫が垂れているのを拭って、「髪まで飛んでるし。……洗うの大変なんだよ?」
「ご、ごめん……」
「お風呂入ってからじゃないと人前に出れない」紅美子はソファに座っている徹の前に立ち上がった。「……だから今日はここに泊まることになっちゃった。……ってことは、……、もっとしていいよ」
「う……、う、うんっ……」
紅美子の言葉に徹の目が輝き、今あれだけ放出したにも関わらず、男茎は上向き、中を激しく巡る血潮に合わせて亀頭が上下に揺れた。
「せっかくメイドさんになってあげたんだから、徹も楽しんで」
「た、楽しむ……?」
「……んーと……、スカート捲っちゃったりとか」
「えっ……!」
「今日さ、てっきり徹が女王様スタイル選ぶと思ってたから……、こんなカッコなんだけど、下着、妙にエッロいの」紅美子は笑って、「ちょっと失敗」
「そ、そうなんだ」
「見たい?」
「……み、見たい」
「見てください、ご主人さま」
紅美子は半歩徹に近づいて、肩に両手を置いた。徹が両手でメイド服のスカートの裾を摘んでくる。手が震えていた。上から見ると、小鼻が膨らんで息荒く動いているのがわかる。
「……ちょっ、ちょっと」
紅美子は少し腰を引いた。充血して潤んだ瞳で見上げる徹に向かって、「何か、徹の目、ヤラしすぎてコワい……」
「うん……」
返事をして、またスカートに目を落とすと、そのまま裾を捲り上げてしまう。
「だから……」
「待てない。見てって言ったのは、クミ……、紅美子だ」
徹が自主的に名前を呼んでくれて声が漏れそうだった。捲り上げられて外気に触れる下腹部に徹の視線をひしひしと感じる。
「……ね、合ってないでしょ? が、がっかり、しちゃった……?」
「すごく、キレイだよ」
キュートな意匠のスカートの中に顔を出した黒縁に彩られた濃紫のTバックから徹が目を離さない。紅美子は強烈な視線に脚を擦り合わせ、
「見すぎ……」
「……見てって言ったじゃん。すごく、……可愛い」
「可愛いのか、キレイなのかわかんないこと言わないで」
「キレイなのはクミちゃんの体。……可愛いのは今のクミちゃんの反応」
「んっ……」
胸がすいて、肩が動いた。「もうっ……。また、泣いちゃうからやめて。それから、クミちゃんに戻さないで」
「く、紅美子……、さ、触っていい?」
「触るだけ?」
「キスもしたい」
「んんっ……」
さっき何度もキスをした徹の唇の感触が思い出されて、小さな声を漏らすと、紅美子は徹の肩をゆっくり押して背凭れに倒し、徹を跨いでソファの上に乗り上がった。こんなことするなんて、という躊躇にむしろ淫靡な期待を煽られる。紅美子は徹に掴まり、更に背凭れに片足を乗せると、徹の頭をスカートの中に導いて開いた脚の中心へと近づけていった。アクロバットな体勢で紅美子が落ちてケガをしないように、徹が腰を掴んで支えてくれる。
「……最近、私、すごくヤラしくなった。……徹もそう思わない?」
下着の中心に徹の熱く湿った息を浴びて、声を震わせて問うた。
「うん……、な、何て言うか……、すごく、積極的? ……何て言ったらいいかわからないけど……」
スカートの中からくぐもった声が聞こえる。徹が下着の丘の頂点に、チュッと音を鳴らしてキスをした。
「はんっ……! ……や、やだ? こんな私……」
「イヤなわけない。すごく、好きだよ」
徹の尖った舌がクロッチの中心を何度も優しく舐め上げてくる。その度に紅美子は片脚立った姿勢のまま、腰を震わせて戦慄していた。「スゴく濡れてるよ、クミちゃん……」
徹の舌が慈しむ前から――徹の男茎をしゃぶっていた時からもう漏らしていた。しっとりとなったショーツへ、徹は躊躇いもなく鼻を埋め、舌でほぐしてくれる。
「やっ……、んん……、と、徹っ……、もう一回、紅美子って言って」
「紅美子……大好きだよ」