ブバルディア-8
貰ったばかりのハンカチをブーケの持ち手から外して涙を拭く。
その時青い花が見えてサムシングブルーって思い出した。
「あっ」
雨水の方を見ると彼はにやにやしながらピースをしていた。
「ごめん、りつ。騙したみたいになって」
春風が立ち上がり指輪を教会の係りの人に渡す。
霞さんがオルガンを弾き始めた。
春風に前を向くように促される。
牧師さんはゆっくりとわたし達を見て聖書を開いた。
式はしずしずと進行していく。
指輪の交換をし、誓いのキスをそっと交わし、メンバーの皆にフラワーシャワーで見送られた。
「はーい、カット」
雨水のかけ声でスタッフから拍手が起こる。
春風がわたしを突然抱き締めた。
「ごめん」
誰にも聞こえないような小さな声でつぶやく。
屈んでくれている彼の首筋をわたしもそっと抱き返す。
「だいじょーぶ」
春風は緊張していたんだと思う。
だからわたしの肩に小さく息を吐いたのだろう。