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はるかぜ
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ブバルディア-9

次の日、雨水が調整してくれたおかげで二人とも休みになっていてすこしゆっくりと朝を過ごしてから午前中の内に近くの役所へ行った。

あっけないほど簡単に届けが受理されて二人で笑いあった。


「でも、本当にびっくりした」

手をつなぎ歩く。
二人ともそれ相応に変装はしている。

「ごめん」

春風が立ち止まり困った顔をする。
それを引っ張って再び歩き出し駐車場へと向かう。

「どーせ雨水でしょ?いいよ、春は悪くないに決まってるから」


駐車場には見慣れた車。短くクラクションを鳴らされ近づいて後部座席にふたりで乗り込んだ。


「おはよ、新婚さん」

にやにやと雨水が後ろを振り返りながら言いその額に春風からデコピンがとんだ。

「あー、お腹空いたなー」

わざとらしくわたしが言い雨水が額を押さえながらエンジンをかけた。

「はいはいって、まじ、いてえ」

ぼやきながらも雨水が車を出し音楽をかけ始める。

初めてちゃんと聴く新曲。
それはとても綺麗な曲で、でも、歌詞を聴いて涙が出た。
二人に見られたくなくてそっと窓の外を見る。


辛いことがあっても君が居るから生きてこれた
君を好きになってどれくらい経つんだろう
もっとずっと一緒にいたいから
誰にも渡したくないから
だから君と結婚するよ



ちゃんと、分かってるよって、春に伝えて上げないとって、ぼんやり滲んで流れていく景色を見ながら思って、隣に座る春風の手をぎゅっと握り締めた。


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