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はるかぜ
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ブバルディア-10

結婚したからって春風が早く帰ってくるわけでもなく、いつも通りだった。


あれから雨水の車で高級フレンチを食べに行きもちろん迷惑料とお祝いでごちそうになった。

その席で関係各者宛てのFAXを書いて雨水に手渡し、そのまま羽田空港に送られてわたしの実家へ向かった。

大体の話は春と雨水からされていたらしく、実家ではごちそうが待っていて。
飲まされて春風は寝ちゃって。
思えばあれから初めての帰省で母と祖母と三人で遅くまで話していた。

次の日には東京に戻ってそれぞれ仕事に向かって。


いつも通りの日常って凄く幸せなんだなあって実感して。
左手にきらきら光る指輪を眺めては笑みを浮かべてる。



それからしばらくして新曲CDを春風が持って帰ってきて二人でリビングで毛布にくるまれながら部屋を暗くしてみた。

ジャケットはカットがかかった後の二人で抱き合ってる写真で、PVは音声を抜きにしてプロポーズを少しカットしたもので、雨水の手腕にふたりで感動した。

「ね」

薄明かりの中春の顔を見つめる。
春がこっちを見て首を傾げた。

「このブバルディアって曲の名前、なあに?」

春の顔が止まる。
顔が赤くなってくのがわかる。
お休みしか掛けない眼鏡が少しずり落ちる。

「えっ……と」

春の唇がわたしの耳に近づいた。


花の名前
花言葉は幸福の愛


fin


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