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LADY GUN
【推理 推理小説】

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女刑事 上原若菜-1

 まるでオリンピックに出る選手を祝福するかのようであった。今まで何人か、出所する仲間を祝福して送り出して来た。そしてとうとう自分の番がやってきた。
 「本来なら私はもっともっと刑務所に…」
そう言いかけた若菜に邪魔する律子。
 「そんな堅い事言わないんだよ!!若菜!おめでとう!!」
刑期の短い若菜を妬む者などいなかった。あんなに荒んでいた自分達をこれ程までに変えたのだ。日本を、いや世界を変えてしまいそうな若菜がいつまでも塀の中にいてはいけないと皆が思っていた。
 「じゃあ皆さん、今までありがとう!悪いけどもう泣かないよ?みんな大好き!出てきたら連絡ちょだいね!もしかしたら私がまたここに戻ってくるかも知れないけどね!」
 「帰ってくんな!!」
 「うん!」
律子達の方が泣きそうだった。しかし飛びっきりの笑顔で若菜を見送る。
 「じゃあ…またいつか!!」
 「うん!!」
素晴らしい笑顔だ。初めて若菜が刑務所に来た時からの思い出が蘇る。しかし今、あんなに眩しいばかりの笑顔を浮かべている若菜に希望と力を与えられた。でも正直…、寂しかった。
 看守に付き添われ所長の元へ行く。
 「今までお世話になりました。」
深々と頭を下げる若菜。
 「こちらこそ、ね。上原さん、刑事には…」
 「戻れません。」
所長は予想どおりの答えにもニコッとした。
「上原さん、今度飲みにいきましょうね?」
若菜はニコッと笑う。
 「是非!」
ハグした感触はまるで母親の懐を感じさせた。
 いよいよ塀の外に出る時が来た。若菜は門の外を見つめる。
 「これから何しよっかな…。」
大きく手を伸ばし深呼吸した。
 「ふぅぅ、シャバの空気もなかなか美味いぜ!!」
そんな若菜を見て所長が笑う。そしてゆっくりと門に歩く。
 「じゃあ上原さん、またね?」
 「はい。お世話になりました。」
所長を見つめた後、すっと振り返る。そして2年の刑期を終え、若菜は新しい人生の一歩を踏み出したのであった。


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