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LADY GUN
【推理 推理小説】

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女刑事 上原若菜-2

 門を出た若菜の背中を見て所長、袴田真梨恵は心の中で呟いた。
 (もう振り返っちゃダメよ?前だけを向いて歩んで行きなさい、ね。)
と。しかしそう願ってるそばから振り向きます手を振る若菜に苦笑いする。
 「飲みに行く約束、絶対ですからね!」
 「分かってるわよ〜!」
そんな若菜を見て振り返ろうがそうでなくても若菜は大丈夫、そう確信した。 
 「出所、おめでとう。」
 「ん??」
横を見ると俊介が立っていた。
 「あ、俊介…さん…!?」
久しぶり過ぎてついさんづけで呼んでしまった。それは嬉しい。嬉しいがやはりこうして時間が経つと、やはり静香の元フィアンセと恋に落ちるのはいけない事だと感じていた。好きだ。物凄く好きだ。しかしやはりそれは禁断の恋だ。それに警察官が犯罪者と付き合える訳がない。その掟は俊介だって十分知っているはずだ。もし自分との関係を選ぶのなら、俊介が警察を辞めなければならない。しかし勿論若菜はそれを望んではいなかった。
 「若菜、預かり物だ。」
俊介は入所前に若菜から預かった、元々は静香への婚約指輪を渡した。それを受け取る若菜だが、冴えない表情を浮かべる。
 「私は先輩の意思に反してしまった女…。私がこれを貰う訳には、いきません。」
本当は欲しくて欲しくて仕方がない。しかしやはり無理だった。
 「そうか…。じゃあこれをつけてくれ。」
俊介は若菜の左手をとり薬指に真新しい指輪をそっとはめた。
 「えっ??こ、これは…?」
出所祝にしては高そうだ。ダイヤが眩いぐらいにキラキラ輝いている。指輪を見つめて驚いている若菜を真剣に見つめながら俊介は言った。
 「俺と結婚しろ。」
 「えっ??」
目を丸くして驚いた。女としてこれほどまでに驚き動揺した事などなかった。
 「い、今…なんて言ったの…?」
耳を疑った若菜。
 「俺と結婚しろ、だよ。」
 「え…あ…っと…」
突然の事過ぎてどうしていいか判らなかった。
 「警察官が犯罪者と結婚なんて、出来ないの、知ってるでしょ…?」
 「ああ。でも署長にでも総監にでもかけ合ってやるぜ!それがダメなら警官なんて辞めてやる!」
 「だ、ダメだよ、そんな事しちゃ…」
 「俺は決めたんだ。お前と結婚するって。若菜はうん、て言えばいいだけ。」
 「そ、そんな…」
 「若菜の事を一番理解し、守ってやれるのは俺以外にいない。俺は田口の事件で結局若菜に守られてしまった。情けなかったよ。このままじゃ終われない。今度は俺がお前を守るんだと決めたんだ。」
受け入れたい理想と受け入れられない現実でもがき苦しむ若菜だった。



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