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LADY GUN
【推理 推理小説】

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さよなら大好きな人…-5

 日に日に若菜は自然体を取り戻していく。思い詰めたものが無くなったからであろうか、本来の若菜の姿に近づいて行った。受刑者達との会話も友達同士のものと変わりはない。おしゃべりが楽しい。
 「今度私が出所して、もし犯罪したらもみ消しにしてよ。」
 「いいよ?万引きぐらいなら見逃してあげる♪てかダメじゃん。また犯罪おこすつもり!?」
 「若菜だってすっかりまた刑事に戻る気でいんじゃん!」
 「あ…、そうだった…。警察には戻れないんだったわ…。じゃあ何やろう。」
 「麻薬でも売る??」
 「早苗さん…笑えない…」
 「アハッ、失礼失礼♪」
 「風俗しかないかなぁ…私には…。」
若菜の言葉に全員が声を揃える。
 「天職!!」
と。
 「酷くない!?まるで私はセックスしか能がないみたいじゃん!!」
 「違うの?」 
 「う〜ん…、そう言われると…。律子さんは何したいの?」
 「私はベビーシッターとかやりたいな。結局子供を産むチャンスがなかったからね。子供を思う母の気持ちを少しでも味わえたらいいなって。」
 「素敵!!」
若菜に褒められたが恥ずかしくなる。
 「まぁ犯罪者に子供を預ける人なんていないか!!アハハッ」
照れ隠しする。
 「そんなの関係ないよ。いいねー!いい夢だよ!」
 「ありがとう!」
みんながそれぞれの夢を話す。とても和やかで幸せなひとときだ。
 「若菜が来るまでこんないい雰囲気になることなんてなかったし、夢を口にする事なんてしようとはしなかった。こう言ったらなんだけど、若菜が来てくれてよかった。」
全員を見渡す若菜。みんなとても刑務所の中の人間だなんて思えないぐらいに明るくいい表情をしていた。
 「役に立てるなんて、犯罪者になるのも悪くないね!アハハッ!」
笑い飛ばした若菜。
 「若菜はまた刑事になってね。」
 「えっ…?」
思いもよらぬ言葉にびっくりした。
 「あなたみたいな刑事は必要だよ。あなたみたいな刑事と出会えてたなら私達は犯罪を犯さなくてもすんだかもね。何となくそう思う。」
急に真面目な顔になる。
 「ありがとう。でも無理!!」
努めて明るく言った。
 「そっか…。残念!じゃあ一緒に次の仕事でも探そうね!」
 「うん!」
刑事以外に出来る仕事など思いつかない。しかしもう刑事に戻る事はできない、それだけははっきり分かっていた。


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