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LADY GUN
【推理 推理小説】

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さよなら大好きな人…-6

 皆で励まし合いながら刑期を全うする若菜。それはもう少しでクリスマスという肌寒い季節になった時の事だった。時間は深夜の3時。すっかり寝静まった頃、静寂を切り裂くように鍵が開く音に目が覚めた。
 「上原さん!すぐに来なさい!!」
 「えっ…?」
何事かと思った。しかし次の瞬間、信じられない言葉が心に突き刺さる。
 「お母さんが倒れて危ない状態なの!」
 「えっ…!?」
頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
 「ど、どうして…」
 「詳しい事は分からないけど、とにかく一緒に!」
 「どこへ行くんですか…?」
 「どこって…病院でしょ!!」
若菜は一瞬目を閉じた。
 「こういう場合、普通受刑者は特例で病院に行けたりするものなのでしょうか…?」
 「えっ?そ、それは…無理ね。行けないわ?」
 「じゃあ私も行く訳にはいきません。」
耳を疑う看守。
 「こんな時に何を言ってるの…?」
看守は驚いた。 他の受刑者達も後押しする。
 「若菜、行ってきなよ。行かなきゃ絶対後悔するよ!?」
しかし若菜は首を横に振る。
 「本来は会いたい…。今すぐお母さんの元へ行きたい。でもみんな同じ。私だけ特別扱いされる訳にはいかない。大事な時に…母親の危険な時に会えないのも全ては犯罪者となってしまった自分の罪。これでもし一生会えなくなってしまい後悔するのは自分が罪を犯したせいです。お母さんに何かあった時に傍にいれなかった苦しみを一生胸に生きていかなきゃならないのは犯罪を犯してしまった罰。だから…行くわけにはいきません。」
涙を堪えながら震える言葉を口にする。
 「いいから行きなよ若菜!」
 「そうだよ!」
肩をゆする仲間達。
 「行けません…。」
頑なに拒む若菜に看守も困り果てる。
 「そのかわりお願いです。空の…空の見える場所で一人にしてほしいんです…。」
 「分かったわ。」
看守は若菜を連れ添いコートや防寒着を着せ与え表へ出る。若菜は広場の真ん中に立ち手を合わせ星空に祈りをこめる。
 「お母さん…。」
と。
若菜は夜明けまでずっと願いを込めていた。


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