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LADY GUN
【推理 推理小説】

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暗殺者・瀬川涼子-7

 高田一家が乗った車が佐原インターを過ぎた時だった。中島が運転する車と同型同色の車が5台高速道路に乗ってきた。その中の2台が猛スピードで中島の乗る車を追い抜いて行った。
 「ん?安っぽいいコローナのくせして飛ばしてるなぁ。」
小馬鹿にしたように言った泰明。
 「てか周り同じ車がいっぱい走ってるし。ウケル~。」
合計6台のコローナが走っているのを見た瑞穂は欠伸をしながら言った。
 「護衛でもしてくれんのか?周りをグルッと固めて。ハハハ!」
前に2台、横に2台、背後に2台がプニウスを取り囲んだ。運転席の後ろに座っていた瑞穂が何となく横に併走するコローナを見た。すると窓が開き風で髪をなびかせた女が見えた。
 「えっ…?」
突然の事で驚いた瞬間、窓ガラスが割れすでに頭を撃ち抜かれていた。
 「な、何だ!?」
瑞穂の血が顔に吹きかかる。それが血だと気付いた瞬間にはもう泰明の額には銃弾による穴が開いていた。
 「な、何ごと…!?き、きゃあ!」
後部座席にぐったりとしている変わり果てた2人の亡骸に混乱する。
 横を併走する車を見ると銃を構えた女の姿が見えた。
 「あっ…」
まるで自分に向かってくる銃弾がスローモーションに見える。しかし為す術なくしてこの世を去った。
  「うわっ…!」
涼子と目があった運転手。涼子が、あなたは関係ないけどごめんなさいね、と言った言葉など聞こえるはずもなく涼子の銃弾に頭を撃ち抜かれた。その瞬間に背後にいた2台は追い越し車線に移りスピードを落としながら舵を失ったプニウスを抜き去って行く。中島はバックミラー越しにプニウスが蛇行しながら分離帯を乗り越え反対車線に突っ込んで行くのが見えた。
 「お見事!」
 「完璧だったわ。」
溜息をつく涼子。すると6台の車は東関道最後のパーキングエリアへ入って行った。
 一斉に車が停まる。そして先頭のコローナには2人の男が乗っおり、その片方が降りてきた。車から降りる涼子と中島と入れ替わりでその男が車に乗り込む。そして2人を置いたまま車は全て走り去って行った。
 「さ、タラタラしてらんねっすよ!」
中島と涼子はトイレ横にあるフェンスを飛び越えた。そして側道に停まっていた車に乗り込む。息を切らしながら後部座席に乗り込んだ2人を乗せ車は走り出した。一般的に高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに食材や自販機に補充するための飲料を運ぶのには一般道から行われる。2人はすぐ裏にあるその一般道を逃走ルートに選んだ。このパーキングエリアには防犯カメラが無いことを調べてあった。それにサービスエリアではないので人もあまりいないのも調査済みであった。だから佐原パーキングエリアを選んだのだ。そして最寄りの佐原インターから高速に乗り、そして成田に向かった。 
 「あとは海外へひとっ飛びだ。飛び立った瞬間、あなたは自由だ。ゆっくり休んで下さいね。目覚めた時からは新しい人生が始まるんですならね。」
涼子は若干疲れたような表情でニコッと笑った。
 「人間の命…、あの4人はそれぞれの人生を何十年と生きてきた。でもわずか一瞬…、わずか一瞬で簡単に全てを奪われてしまうんだから悲しいわよね。もう誰も殺したくない…。元刑事が簡単に人を殺すなんておかしな世の中になってしまったわね。決してやってはいけないことなのに…。また新たな背信者が生まれようとしている。本当は上原さんを私と同じ悪魔にはしたくないんだよね…。」
 そう悲しげに言った。涼子による高田一家暗殺は見事に成功したのであった。若菜にもそれは伝えられた。


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