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LADY GUN
【推理 推理小説】

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Fall in Love-2

 テレビをつけると湯島武史殺害のニュースが流れた。
 「やっぱりなかなか隠し通すのは難しいわよね。渡辺麻耶の方が報道されるのも時間の問題か…。」
じっとニュースを見つめていた。
 「田口から連絡は?」
 「携帯はいなぎ市で壊して捨ててきたわ?どこで足がつくか分からないから。」
 「そうですか。さすが元刑事ですね。」
 「そういう訳でもないけどね。」
フッと笑いニュースを見る。しかしニュースで流れる犯人像は涼子からかなりかけ離れたものであった。まずは安心した。
 「こうして見ると、私はなんて事してしまったんだろうって思ってしまうわね…。だって殺人犯だもんね。人を殺したんだもんね。」
溜め息をつく。
 「中島さんは私の事、怖くないの?殺人犯と同じ部屋にいるのよ?」
悲しい気持ちを押し殺す笑みが胸をキュンとさせる。
 「僕は…あなたをずっと見てきました。若い時から今まで、ね。あなたは毎日辛そうな、悲しそうな顔をしていた。まさに何か大それた事を考えているような思いつめたような顔を毎日…。30歳代のあなたは全て知ってる事になりますね。でもそれはずっと変わらなかった。でも昨日上原さんと出会ってから、あなたは笑顔を見せるようになった。十何年もあなたを見てきて初めてだよ、笑顔見たのは。だから変かも知れないけど、今のあなたはとても人間的で怖くなんてないですよ。今までの方がよほど怖かったからね。」
 「な、なんか恥ずかしいわ…。そうか、私をずっと見てきたんだもんね。フフフ、随分ババァになったでしょ?」
 「いやいや、あなたはずっと美しかったですよ。今もね!アハハ!」
照れ笑いする中島。もしかしたら中島は親よりも長く自分を見ていたのかも知れない。とは言え涼子の両親は幼い頃に亡くなってしまった。涼子は孤児だ。施設でずっと育ったのだ。親の記憶は殆ど煙がかっているし考えると悲しくなるのでいつしか思い出すのを止めてしまった。
 「そうかぁ…。ずっと見られてたのよね。ソープランドで何人ものお客さんに抱かれて帰る姿とか…。情けない姿見られてたのね。」
中島は表情を変えて言った。
 「止めましょうよ、そんな話は。」
涼子にとってその言葉は物凄く温かいものに感じた。なんて事はない言葉だったが、中島の愛情がいっぱい詰まっているように思えた。
 それから中島が作った男飯を驚きながら美味しく食べ、そしてシャワーを浴びた。いくらシャワーを浴びてももはや自分のした事は洗い流せない。ふと溢れた涙だけシャワーと共に流してから部屋へ戻る。
 「中島さん、いいセンスしてるわ。」
中島の買ってきた服が気に入ったようだ。スッピンも若々しく美しい涼子がおどけながら服を見せている姿が物凄くキュートに見えた。
 (どうしてこのような女性がこんな人生を歩まなきゃならないんだろう…)
中島はふとそう思った。


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