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透明な滴の物語V
【同性愛♀ 官能小説】

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嵐の余波-3

昨日、重いお腹を抱えてこの机に突っ伏してしまった記憶が一瞬よぎったが、心の中で摘み取るように、それを打ち消した。
誰ともなく、麻衣が登校したことに気がついた。
「あら!麻衣。大丈夫なの?」
昨日の経緯を知っているクラスメイトが寄ってくる。
「大丈夫よ〜。昨日は少し熱があったの。でも、早退してゆっくり休んだら、治っちゃった!」
麻衣は、つとめて明るく振る舞う。
その様子を見て、皆はほっとした表情をみせた。

そして皆は、麻衣の危機がすでに過去のことになったことを見極めたうえで、同情的な口調でそれぞれ話しかけた。
「お腹、かなりツラそうだったもんねぇ」
「分かるわ〜。私もだから」
麻衣は、状況がつかめずポカンとしている。
「私も幼稚園の時に酷くて…、よく泣いてたわ」
「病院で治療してもらってすぐに治ったんでしょ?」
麻衣の表情がだんだん硬くなってくる。
「でも、あれって、すぐ効くのよね!ガマンさせられるのが大変だけど」
「そうそう!私はお母さんからされた」
「いやぁ〜ねぇ、もう〜」
麻衣の鼓動が再び早くなる。
(なんで、皆、知ってるの!?あのことを…)
必死で頭を巡らせる。
昨日の状況をひとつひとつ吟味するように思い出す。

昨日は、吐き気を催し、この教室を出たのだ。
トイレで咳き込み、水を流した。
千帆に見つかり一緒に廊下へ出た。
数学の男性教師に会ったが、彼は関係ないだろう。
その後、千帆に付き添われ保健室へ。
しかし、保健室の先生はしゃべらないと約束している。
保健室から千帆に付き添われタクシーへ乗った。
私を見送る千帆のあの視線。
最後まで付き添ったのは千帆しかいない。




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