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透明な滴の物語V
【同性愛♀ 官能小説】

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嵐の余波-4

千帆……
彼女しかいない!

麻衣を置き去りにして飛び立った宇宙船。
そのなかでは、バレーボールの授業が行われていた。
そして、同時に千帆による秘密の暴露も行われたのだった。
昨日のバレーボールの試合がどうなったのか。
どちらが勝ち、どちらが負けたのかを忘れてしまった者はけっこういた。
しかし、麻衣が便秘で倒れ病院へ行ったことを忘れた者は一人もいなかった。
千帆の口から伝えられたその情報は、試合なんかより衝撃的なものだったのである。

麻衣は、はっとして、向こう側に座る千帆を探した。
長い黒髪に覆われて表情は見えない。
ここの会話が聞こえているのかもしれないが、聞こえないフリをしている。
その黒髪の中を覗きたい。
きっと、ずるそうな笑みを浮かべているに違いない。

その時、始業を知らせるチャイムが鳴り、皆は散るように自席へと戻った。
先生がやってきて授業が始まった。
麻衣は怒りと羞恥で震えながら教科書を開いた。
指先が血の気を失ったような感じで力が入らない。
もういちど、怒りのこもった目で千帆を見る。
その後ろ姿は、「私は関係ないわよ」と鼻で笑っているように見えた。

しかし幸いなことに、その後は一日を通して、昨日の麻衣の便秘についてそれ以上の波紋が広がることはなかった。
浣腸処置のことも、それ以後は話題にならなかった。

便秘は、すべての女にとって共通の敵だからである。
皆、敵の恐ろしさを知り、敵に羽交い絞めにされる苦悩を知っている仲間である。
病院で敵と懸命に闘い、無事帰ってきた麻衣。
そんな麻衣を仲間として迎え入れこそすれ、揶揄するようなことは少なくともこの女子校ではあり得ないことだったのである。





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