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LADY GUN
【推理 推理小説】

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湯島武史-6

 何でも包み隠さずに供述をする湯島。脇でじっと話を聞いている絵里が気になる。
 「すみません、奥様…、色々ショックなお話が出てきている事でしょうが…、平気なのでしょうか。」
心配する若菜をよそに平然としている絵里。
 「私は全てを聞いてますから。それを承知の上で武史さんと結婚したので。」
 「そうですか…。」
絵里は若菜が聞きずらそうな事があるような様子を察して自ら口にした。
 「女性を次々とレイプしていた男性と知りながら結婚するなんて信じられませんか?」
 「い、いえ…」
図星の事に焦る若菜。
 「顔に書いてありますよ?フフ。」
 「すみません…。」
肩を窄める若菜。
 「武史さんが小さい頃、同級生の女子達にイジメを受けていた事は矢沢さんから聞きましたか?」
 「はい。海老川優里さんという女の子を中心に酷い事を繰り返しされていたと。」
 「私はその海老川優里の双子の妹なんです。」
 「えっ!?」
湯島武史が優里をレイプし強制的に結婚し、暫くしてから離婚、そして再婚して今では幸せに暮らしているという事は聞いていた。しかしその再婚相手が双子の妹だとまでは聞いていなかった。
 「私はね、小学校の頃、優里達が武史さんをイジメている事は知っていました。初めは客観的に見ていて、武史さん可哀想ぐらいにしか思っていませんでした。でもまだ小さかったから興味本位で、男の子をイジメるってどんな気持ちなんだか知りたくなって、ある日優里になりすまして武史さんをイジメてみたんです。優里の友達と一緒に。凄く嫌な気持ちでした。すぐに止めようかと思ったけど、優里の友達に私が絵里だとバレてしまうから私はそのまま暴行を続けました。何の抵抗もしない武史さんが私には辛くて辛くて仕方なかった。頭が可笑しくなりそうだった…。家に帰ってから私は自分が嫌で嫌で仕方なかった。私はすぐに謝りに行こうと思ったけど、勇気が出なくて。いつか謝ろうと思っているうちに学校もバラバラになり、気付けば社会人になっていました。」
絵里の話をじっと若菜は聞いていた。
 「そしてテレビとかであの一連のレイプ事件を知りました。それが武史さんだとは思いませんでした。そんな中、優里が武史さんと結婚しました。でも何か違和感を感じたんです。それは私達双子は昔から好みとか似てました。何でも姉の真似をしていた事もありましたが、だいたい好きになる人は同じでした。でも私は武史さんを全然好きにはならなかったんです。だから私は何故優里が武史さんを好きになったか知りたかったんです。だから2人の家に良く訪れました。でも一向にその理由は分かりませんでしたし、優里が幸せだとも感じませんでした。なのにどうして武史さんと結婚したのか…、もしかしたら幼い頃の復讐をされてるのではないかと考えました。なら姉を助けなければならない。私は武史さんの気を引いて優里から引き離そうと考えました。でも武史さんと接しているうちにどんどん好きになっていってしまいました。それにもし武史さんが幼い頃の復讐で優里と結婚したのなら、私は本当の幸せを武史さんに教えてあげなきゃならない、それにあの時言えなかった謝罪をしっかりしなきゃいけない、そう思ったんです。私はずっとあの時の事を謝りたかったんです。」
顔に感情が込められている絵里の言葉には説得力があった。


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