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LADY GUN
【推理 推理小説】

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湯島武史-5

 田口が義理堅い一面がある事を聞いたからと言って見る目が変わる訳ではない。田口徹という人間を知る上での参考になる程度にしか感じなかった。湯島も若菜が田口を見る目を変えてくれる事など期待していない。ただ自分が田口の人生を変えてしまった責任ははっきりと伝えておきたかった。
 「渡辺麻耶さんはご存知ですよね?」
 「はい。」
 「だいたいのお話は聞いております。あなたは渡辺麻耶さんを使い警察の捜査状況を手にしていましたね?」
 「はい。ただ始めから彼女を利用するつもりはありませんでした。知り合って関係を持つにつれ、麻耶さんが警察自体に不満を抱いていた事と、警察を相手に戦っていた僕との利害が一致してそういう事になりました。田口が捕まらないのも僕と同じで、警察内部に協力者がいるのだと思います。」
 「私もそう睨んでます。」
 「田口は僕のやり方を見ていました。同じ事をして当然です。僕は田口をレイプの世界に引きずり込んでしまった事を後悔してました。だから麻耶さんにお願いして田口を密かに監視してもらいました。高田らとつるむ田口を近くで監視してもらい、段々レイプの道から遠ざけるつもりでした。しかし田口はどんどん高田に懐いていってしまった。いやしかし高田は本当に田口の面倒を良く見ていた。田口が慕うのも当然だった。今考えれば僕が田口を引き取り面倒を見れば良かったのかも知れない。」
 「その高田道彦に私の父は命を奪われました。」
 「えっ…?それじゃああの時亡くなったのはあなたのお父さん…?」
 「はい。」
 「何て事だ…。」
沈痛な面持ちで若菜を見つめた。
 「それは今はどうでもいい事でしたね。すみません。話を戻しますが、麻耶さんは現在警察を辞め行方が分かりません。しかし今でも田口が警察の捜査状況を掴んでいる様子が窺えます。麻耶さん以外に誰か田口に協力しそうな人物に思い当たる節はありますか?」
 「…名前までは特定できませんが、麻耶さんから聞いた事があります。いつでもどこでもパソコンから捜査状況を確認出来る人物の事を。」
 「本当ですか!それは!?」
湯島はその情報を若菜に伝えた。
 「な、なるほど…、そうか!その手があったのね!ますます慎重な調査が必要だ…。」
湯島から大きな手掛かりを得た若菜だった。


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