売春区域-4
加藤綾美発見の報告はすぐに現警視庁総監の守山純一に伝えられた。田口との密約で捜査に影響を及ぼした責任で職を退いて自宅にて静養していた元総監、加藤正剛にも一報が届く。連絡を受けた正剛はすぐに車を走らせいなぎ市総合病院へと急いだ。
なおも現場を捜査する若菜ら捜査員。田口の影があるのならばかならず違法薬物の痕跡があるはずだと判断し徹底的に捜査する。その判断は正しく、次々と成果を上げた。
「ありました!コカインです!」
「こちらは覚せい剤と注射針がみつかりました!」
「これはMDMAかMDAでしょう。」
大量に発見された。
「やっぱりね。」
それらを全て押収する。
「ここは違法薬物の隠し場所だったのか?」
石山が聞いた。
「いえ、違うと思います。ここにあるのは別に見つかって押収されても構わないほど僅かな物でしょう。」
「ではなぜこんなとこに薬物を置いておく意味がある?」
「私の予想ですが、石山さん?この膣楽園のホームページ覚えてますか?なんて紹介されてました?」
「ん?一度体験したらくせになる的な…。」
「一度やったらくせになる…、何かに似てますよね?」
ハッとした表情を浮かべた石山。
「ドラッグか!?」
「そう。恐らく田口はここに来た客に何らかの形で知らぬ間にドラックを体内に入れさせてたんだと思います。客は知らぬ間にドラッグセックスをさせられていた。その魅惑の快感の虜になりまたこに足を運ぶ…。そしてまた知らずにドラッグを体内に入れられ正常な判断が出来なくなった状態でいよいよ麻薬売買を行う…。そんな事をしていたんだと思います。金の亡者になった被災地の一部の人達への不満を増長させ、復讐意欲を高めていたのかも知れません。正直いくらフラストレーションが溜まるからと言ってここまで強姦事件が増えるのは異常です。容疑者を調べれば、もしかしたら体内から違法薬物が検出されるかも知れません。彼らがこの膣楽園を利用したかどうかも捜査しましょう。それとここの顧客も調べる必要があります。もしかして大金を得た被災地の人達の態度が横暴になったのも田口の仕業かも知れませんし。田口は滅茶苦茶になる人間を見て楽しんでいたのかも知れません。」
「十分あり得るな。よし、すぐに調べよう。」
現場に捜査員を残し2人はいなぎ市中央署に戻った。