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LADY GUN
【推理 推理小説】

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LADY GUNを手にする日-6

 家に帰って買い漁った服や下着を広げてみた。
 「ゴクッ…」
昼間試着室で見た自分のセクシーな姿を思い出しドキドキする。黒のタンクトップとホットパンツを手にした。しか着てみよう…そう思った瞬間、ふと手が止まる。
 (って、浮かれてる場合じゃないでしょ!!技能検定競技大会までもうすぐ。女子力はその後に磨けばいいじゃない!!ダメダメ。)
若菜は服を袋に入れクローゼットの奥に閉まった。
 (危ない所だったわ…。誘惑に負けるとこだった…。恐るべし女子力…)
とは言え久しぶりに女の子としての気持ちを思い出したかのようで嬉しくもあった。
 (私は技能検定競技大会で優勝してミニスカートを履く!!…じゃなくて…!LADY GUNを手にする!!絶対…!)
若菜の表情が引き締まる。そして机に向かい犯罪心理学の本を読み始めた。警察官としての技術を磨くのと同時にたくさんの本を読んでいる若菜。常に警察の裏をかき捜査をおちょくりながらかいくぐり行方をくらませた田口徹を攻略する為に心理学関係の本は手当たり次第読んでいる。田口に行き着く為には思い付いた事を全て学んでおかないといけない、そう思っている。
 翌日の稽古は石山の母校、帝国体育大学柔道部に出向いて試合形式の組み合いを行った。各級の大学日本一を総なめにしたこの帝国体育大学。初めの相手はいきなり昨年の50キロ級の女子大学日本一になった花園由香里だ。次は60キロ級、次は70キロ級のチャンピオンが揃う。部員全員がその試合を見ていた。
 野獣と呼んでもおかしくはない女子部員達とは相反し、まるでモデルのような見た目華奢な若菜。誰が見ても結果は予想できた。特に男子部員は密かに若菜を色眼鏡で見ていたのも事実。誰もが若菜をなめていた。
 「石山さん、大丈夫ですか?その方。怪我させても謝りませんよ?」
女子力ゼロの僻みだろうか。美しい若菜に敵対心全開だ。
 「怪我したら俺が送ってくから安心しろ。花園、手を抜くなよ!?」
 「ではお言葉に甘えて…」
指の関節をポキポキと音を立て不敵な笑みを浮かべる。若菜も負けじと睨みつける。が…。
 (ち、超コエー!!猪みたい…)
花園が猪に見えてきた。内心かなりビビッていた。審判は石山が務める。
 「では始めるぞ!!ファィッ!」
掛け声と同時に花園が素早く掴みにかかる。秒殺で仕留めるつもりだろう。あっと言う間に襟を掴む。
 「あっ…!」
何が起こったのか分からない。体が宙に浮いたと思った次の瞬間、背中に畳がついていた。
 「えっ…?」
天井が見える。そして上から見つめる若菜の顔が見えた。そう、畳に背中をついていたのは花園だったのだ。
 「な…!」
部員達も油断していたせいか何が起こったのか良く見えなかった。一瞬にして背負い投げされた花園の姿だけは分かった。
 「よし、上原の勝ちだな。じゃあ次!」
石山が言うと若菜は花園を起こし礼をする。
 「ありがとうございました。」
 「いえ…こちらこそ…。」
花園はキョトンとして若菜を見つめていた。


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