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LADY GUN
【推理 推理小説】

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LADY GUNを手にする日-7

 (動きがスローモーションのように良く見える…。石山さんの教え通り、あんな重い人でもちゃんと投げれる!凄い…!)
自信が確信に変わった。石山に投げられるだけの日々だったが、着実に強くなっていた自分の力に自信が持てた。それから各級の大学チャンピオン2人にも秒殺で勝った若菜。部員達は信じられないような顔をして若菜を見つめていた。
 女子部員のベスト3を倒した事で出稽古は終了だと思われた。しかし石山の言葉に全員が耳を疑った。
 「じゃあ次は男子だ。60キロ級から100級までの代表者、出てこい。」
 「えっ…?」
驚く男子部員。まさかいくら強いであろうとも男子と組み合いをさせるなどとは冗談だと思った。
 「ほら、早く出てこい!」
促す石山。60キロ級の野村勤が石山に言った。
 「さ、さすがに無理ですよ…」
 「どうしてだ?オッパイ気になって集中できないか?」
 「そ、それもあるし…美人で…、その…」
 「ムラムラするか?馬鹿野郎。おまえは不戦敗だ。次!谷口!」
 「は、はい…」
動揺ありありの返事だ。
 「なぁ、おまえらの柔道はオッパイより弱いのか?情けないなぁ。」
部員のプライドを刺激する。しかしそう言われてもなぁ…的な雰囲気だ。そんな男子部員に若菜は言う。
 「オッパイぐらい触られても平気よ?何なら私に勝ったら後で揉ませてあげるけど?柔道ばかりでオッパイなんて揉んでないでしょうからね。タダで揉ませてあげるわ?」
 「…」
男子部員の目の色が変わった。しかしそれは揉みたいからではない。馬鹿にされプライドを傷つけられたからだ。
 「やってやろうじゃん!!」
谷口が立ち上がる。闘志全開だ。馬鹿にされ目つきが鋭くなっていた。
 (あの目…、あの目よ…。男が見境なく獲物を狩る目つき…!負けない!)
若菜にも闘志が漲る。石山の掛け声と同時に試合は始まった。
 男子部員と組み合いう若菜。現在100級の沼田と組み合っている。これまで男女7人と試合をしてきた若菜。肩で大きく息をする。
 「タイムアップだ!終了!」
天を仰ぐ沼田。若菜を仕留められなかった悔しさと、かなりの体格差がある若菜の強さへの驚きに溜め息をつく。
 若菜は70キロ級の谷口には勝ったものの、それ以降は全てドローという結果だった。しかしそれが意味するものは柔道部員が全員理解していた。
 「あんた、何者だ…?」
沼田が聞いた。
 「ハァハァ…、私は…」
苦しくて言葉も出ない。石山は若菜を代弁する。
 「こいつは史上最強の女刑事になる女さ。フフフ。」
畳に大の字で寝転び息を切らす若菜を色眼鏡で見る柔道部員はいなかった。そして息を切らしながら畳を叩いた若菜。
 「ハァハァ…結局男子には勝てなかったぁ…。」
悔しがる若菜。勝どころか負けなかったただけでも相当なものであるにも関わらず悔しがる若菜に驚く部員達。しかし1人だけ悲しそうに言った。
 「俺…負けました…。」
谷口だ。若菜はゆっくりと上半身を起こし笑みを浮かべて言った。
 「谷口くんは…、オッパイに手が当たった瞬間、動揺したもん。他の人は全然しなかったわ?まだまだね?フフフ」
 「…」
谷口はそんな若菜を見て胸がドキドキしてしまった。汗で髪や柔道着が濡れ何とも言えない色気を感じたからだ。動揺…、いや恋をしそうなトキメキだった。
 「大したもんだよ!いや、ですよ!」
沼田が若菜の手を引き上げ体を起こす。
 「こんな軽々と持ち上げられるのに、全然投げられないんだもんなぁ!参りましたよ、上原さん!」
すっきりした表情で笑顔を見せる若菜。
 「こちらこそありがとうございました。」
ニコッと笑う若菜に照れる沼田。男子部員のみならず女子部員も若菜に尊敬の念を抱いた。
 「上原さん!史上最強の刑事になるんですよね!頑張って下さい!」
 「ありがとう。」
そして部員全員がエールを送る。
 「フレー!フレー!上原!!頑張れ頑張れ若菜!!」
 「み、みんな…」
若菜は柔道部員の野太い声の大きな応援に照れながらも嬉しくて涙が出てきた。しかしその涙混じりの笑顔が可愛く感じる。みんなに見送られて大学を後にした。
 車の中で…。
 「お前、泣き顔可愛いな♪」
ニヤニヤしながら言った石山に若菜は切り返した。
 「とか言いながら、石山さんが一番泣いてましたけど?♪」
そう言って見せた笑顔はやはり最高に可愛らしかった。 


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