懐疑-1
結合を解き、ティシューケースに手を伸ばした。サイドボードには田倉がはぎ取ったブラジャーやストッキングがぶら下がっている。半分ずり落ちた肌掛けの上に水色の小さく丸まったものが目に入った。田倉はそれを手に取った。奈津子が身に着けていたパンティだ。広げて見ると慣れ親しんだ匂いを感じた。性器が密着する部分はもう乾いているが、白く濁ったものが付着している。部屋に入るとすぐ壁に押しやり、立たせたままパンティの上から気をやるまでこすったからだ。
自分の体臭が強いことを奈津子は気にしている。それが田倉の性欲を刺激している、と説明しても分かってもらえない。特に愛液の強い性臭は下半身が猛り狂う。今も放ったばかりだが、もう血液が下半身に集中していくのを感じた。
ドーランを塗ったような白く艶めかしい躰を見つめながら、ティシューを抜き取って束にしていく。わずかに脚を開きうつ伏せに横たわっている奈津子の息づかいはまだ荒い。両脚を広げると少し呻き声をあげたが、されるがままになっている。放った精液は肩にまで達している。尻を広げると腰に溜まっていた精液が深い谷間に沿ってゆっくりと流れ落ち、やや赤みを帯びた薄茶色の蕾を濡らした。しっかりとそれを見届け、蹂躙したばかりの花弁に滴る前にティシューを押し込んだ。広げて丁寧にぬめりをぬぐってから、背に放った精液をふき取っていく。
奈津子は気怠そうに立ち上がりシャワー室へ向かった。ビールを飲んでいるとすぐに戻ってきた。缶ビールを冷蔵庫から取り出し、プルトップを開けて奈津子に手渡す。
奈津子はシャワー室から持ってきたバスタオルを体に巻き付けていた。
「どうしていつもそんなものを?」
胸まで隠しているバスタオルのことをいっているのだ。
「どうしてって……だって、そのままでは……」
裸のままでいる田倉の股間に奈津子の視線が動いた。そこは完全な形になっている。
「田倉さんこそ隠してください」
「いけませんか?」
「目のやり場に困ります」
「あなたにもっと見て欲しいのです」
手でペニスをしごいて見せてから奈津子を抱きあげた。
「これが、もう一度あなたの中に入りたいと駄々をこねているのです」
「あ、こぼれちゃう」と缶ビールを両手でつかみ舌足らずの声をあげる。横抱きにしたままソファーに座り、柔らかな臀部にいきり立つペニスを密着させて、奈津子の体に両手を巻き付け、後ろから抱きしめる。
「本当に信じられないわ。男の人ってみんなそうなのですか?」
ひざの上で奈津子は恥ずかしそうにコップを口に付けた。佐伯は一度きりで二度はしない――できない、と言っていることに気づいているのだろうか。
「個人にもよると思いますが、わたしの場合は、あなたがとても魅力的な女性だからです。あなた以外の女性では何度もできないに決まっている」
「本当に?」といって振り向いて、唇を田倉の耳に近づけるようにして「でもほかにいい人がいるのでしょう?」と囁いた。
「あくまで仮定の話です。わたしにはあなた以外にいません。だから何度もファックできるのです」
わざと俗っぽいいい方をした。顔を赤くして前を向こうとする奈津子のあごをつかみ、ビールの香りがする唇を吸った。キスをしながらバスタオルをはぎ取ってしまう。ふとももの間からからにょっきりとペニスを起立させた。奈津子は甘えるようにして体を預けてくる。
「握ってくれますか?」
缶ビールを田倉に預けテーブルに置かせ、足を開いて背を伸ばし、尻を揺らし腰を田倉に押しつけ、自分の股間にそそりたつペニスを両手で握りしめた。そのままゆっくりと手を上下させた。首をひねって乳首を口に含みながら、くすっと笑った。
「何が可笑しいのですか?」
奈津子は怪訝そうな顔で振り返る。目の前で奈津子の息づかいを感じて興奮した。もっと首をひねって両方の乳首を交互に吸いながら「さっきまでわたしの上に乗ってダンサーのように腰を振っていた人とは思えなかったから」といってまた笑った。
「そんなことを考えているのですか」
すねながらもペニスを握りしめてくるのが田倉はうれしかった。
「その前は射精するまでフェラで、音をたてて……」
「いじわるね」
赤くした顔を背けた。だがそのあごをつかんで自分の方に顔を向けてしまう。奈津子は「あん」と声をあげ、滑り込ませた舌を吸い上げた。人妻の愛人と、しばらくキスを味わった。