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LADY GUN
【推理 推理小説】

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密約-5

 「角田刑事、落ち着いて下さい。」
冷静な声で運転手が言った。日差しが眩しいのか帽子を目深に被っている。
 「落ち着いてられますか!我慢にも限界がある!だいたい何なんだその態度は!今からお前は東京に移送されて今までよりも厳しい厳しい取り調べが待っているんだからな!今の内にそのなめた口を正しておかないと大変な事になるぞ!?」
興奮が収まらない俊介。対照的に依然として冷静な喜多。冷静に俊介をコケにしている。
 「そんなんで冷静な捜査が出来るもんかねぇ。だからいつまでたっても田口徹を捕まえられないんだよ、日本の間抜けな警察はよ!ハハハ!」
 「こ、この野郎!!」
格子が壊れそうな程に掴みかかっている。
 「あなたは危険な状態ですね。」
運転手が呟いた。
 「俺は…!」
そう言いかけた瞬間、シートベルトがきつく締まった。と同時に前部座席と後部座席を仕切っていた格子が左右に開いてしまった。
 「えっ?」
驚いた俊介。間髪入れずに喜多が座席ごと俊介をロープで縛り上げる。
 「なっ…!」
異常事態に気付く俊介。体を激しく揺らし暴れる俊介に運転手が言った。
 「日本の警察は間抜けと言われても仕方ないですよ…。」
 「な、何言ってるんだあんた!これは一体どういう事なんだ!」
運転手も冷静だ。俊介のポケットから携帯電話を抜き取り電源を切る運転手。俊介は運転手の様子がおかしい事に気付く。運転手はそのまま前を向き運転しながら言った。
 「いや、間抜けですよ。フフフ」
 「な、何がだよ!」
背後から喜多が笑いながら言った。
 「だってよー、お前、必死に探している犯人が横にいるのに逮捕できねーんだもんよ〜!ハハハ!」
 「な、何…?」
俊介が視線を向けるとゆっくりと帽子を取る運転手。
 「くくく、わざわざ警察の前に姿を現してやったのによー、誰も俺に気付かないんだもんなー!笑っちゃうよ!警察は楽しませてくれるよなー!アハハ!」
 「ま、まさか…お前が…?」
じっと見つめる俊介の視線。信号で車が止まる。その瞬間、運転手はゆっくりと振り向き、こう言った。
 「どうも、田口徹です。」
顔は軽く笑みを浮かべているが、とても目は笑っていない。見られているだけで恐怖心を植え付けられてしまうその目。一目でただ者ではない事を悟る。
 「フフフ、まずは密かに尾行してる覆面パトカーをまいてやらないとな。覆面レイパーVS覆面パトカー…一体どちらが賢いでしょう…か!!」
その瞬間、信号が青に変わる。同時に車を激しく急発進させる運転手、いや、田口徹だった。


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