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LADY GUN
【推理 推理小説】

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密約-4

 背後から喜多の、独り言と呼ぶにはわざとらしく大きい声が聞こえる。
 「いや〜、久しぶりだなぁ、シャバの景色♪随分変わった事。1人で歩いたら迷っちゃいそうだよ、刑事さん。」
ルームミラーをチラッとでも見たら負けだと思い無視している俊介。構わず言葉を続ける喜多。
 「女もお洒落になっていい女が増えたなぁ。たまんねーなぁ!ヘヘヘ」
見なくてもニヤついた顔が想像できる。
 「オッパイでかいしナマ脚ばっかだ!美味しそー!勃起しちゃうよ!犯りてぇ!レイプしてぇ…!」
その言葉に反応してしまった。
 「あんた、お前たちのせいでどれだけ苦しんでる女がいると思ってるんだ?しかも今、田口徹によってまた新たな犠牲者が出てると言うのに一体あんたはどういう神経してるんだ!?」
バックミラー越に見ると想像通りのニヤケ顔をしていた。
 「いーじゃん。俺らが犯した奴らはもういい大人でしょ?あれもいい経験になったってもんよ。女は経験を糧にして輝いていくのさ。ハハハ!」
 「お、お前なぁ!!」
怒りが込み上げる俊介に対して喜多は落ち着き払っていた。
 「しかも今レイプされてんのは女警察官ばかりじゃん。一般人は巻き込まれてないんだろ?身内に甘い警察への罰が当たってるんだよ!ザマー見ろって感じだけど?」
 「て、テメー!!」
挑発に乗る俊介。とうとう振り返ってしまう。しかしバックミラー越ではなくその目で見た喜多の表情は反骨心溢れ出した憎しみを含んだ笑みを浮かべていた。
 「同じ人殺しでもよー、あるネーチャンは温かい目で見られて職場復帰。お咎めなし。一方俺は世間から非難の目で見られて刑務所暮らし。一体この差は何なんだ?いいか?高田さんは銃なんて撃つ気は全然なかったんだぞ!?威嚇のつもりだった。げんに引き金は引いていなかった。しかしパニクったネーチャンが発砲しやがって高田さんをぶっ殺したんだ。言わば過剰防衛だ。裁かれておかしくない。罰を受けておかしくない。なのに何だ?あの女は罰を受けるどころかのうのうと刑事を続けている。おかしくね??警察は身内にどんだけ甘いんだよ!絶対におかしい。あの女は罰を受けるべきなんだ。いや、警察が罰を受けるべきなんだ。だから今回の事件が起きた。違うか?」
 「それはおまえの…」
俊介の言葉を遮る喜多。
 「あの女は彼氏を作り幸せそうにアンアン言ってる。アンアン言わしてるのは角田俊介、おまえだよなぁ!?」
 「えっ…?」
まさか静香と付き合っている事を知っているとは思わなかった俊介は驚く。
 「こっちは刑務所の中でシコシコも出来ずに悶々してるっつーのによぉ!皆川静香は彼氏作って毎晩ハメハメかよ。やってらんねーよ!」
 「お、おまえ…どうして…」
静香の名前は知らされていないはずである。しかも静香と自分が付き合っている事さえも知っている。知り得ない事を知っている喜多に驚きを隠せない俊介。
 「俺も皆川静香の美味しそうな体でこの溜まりに溜まった性欲をスッキリしたいもんだよ!ハハハ!」
高笑いする喜多。静香を侮辱する喜多に腸が煮えくり返る俊介。
 「この野郎!!」
振り返り仕切りの格子に掴みかかり怒りを露わにする俊介だった。


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