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LADY GUN
【推理 推理小説】

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密約-10

 深呼吸をする静香。自分がしっかりしないと捜査は前へ進まない。俊介を心配する気持ちは消えない。しかしその上に刑事としての自分を被せた。
 「すみません、大丈夫です。私、警視庁本部へ行きます。何を隠しているのか明かさなければきっと的を得た捜査はできませんから。はっきりさせて来ます。」
 「私もそう思う。しかし田口がどこで皆川を狙っているか分からない。私も行こう。」
署長の島田は業務を中山部長に任せて車に乗り込んだ。
 「一刻も早く真実を確かめなくてはいけないな!」
島田はいきなりサイレンを鳴らしパトカーを飛ばす。サイレンを鳴らしっ放しで高速を使い東京の警視庁本部へと急いだ。
 「千城県中央署長の島田です。今からそちらに伺わせて頂きます。今回の喜多移送車失踪事件の件で責任者か話の分かる誰か偉い方にそうお伝え下さい。」
島田は警視庁本部へ電話をかけた。話の分かる偉い方…、その言い方をしたのは賭けだった。もしその人間が出てくれば、その人間が事件の真相を知る人間だと踏んだからだ。
 (一体誰が出てくるんだろうな…)
自分の部下を危険な目に追いやった人間との対面を思うと手に力が入る。一方静香は何度も俊介の携帯に電話をかけた。しかし返ってくるのは無機質なアナウンスだった。不安は募るばかりだ。サイレンの音も耳に届かないほど…。
 高速道路をサイレンを響かせ常識外のスピードで走り抜けた島田の運転してきたパトカーが警視庁本部へ到着した。正面玄関に通常では考えられない人数の警察官が立っていた。
 「追い返されるかも知れないな。」
 「それだけ何か大きなものが潜んでいるという事ですね。」
 「ああ。ダメだったらパトカーごと突っ込んでやる!!行くぞ!」
車を降りる島田。静香は島田の横を歩く。配備されている警察官は待ってましたとばかりに島田に視線と体を向ける。まさに厳重態勢だ。
 「千城県中央署長、島田ですが。」
拒まれるであろうと分かりきっていた島田は本気でパトカーごと突っ込む決意を固めた。しかし…。
 「ご案内します。こちらへ。」
なんとすんなり通された。拍子抜けというよりも唖然としてしまった島田。大勢の警察官が2人をエスコートするように中へと入る。
 エレベーターが開くとスーツを着た一際雰囲気の異なる男が乗っていた。
 「お待ちしておりました。ご案内致します。」
2人が乗り込むとエスコートしてきた大勢の警官は敬礼をして見送った。同時に扉がしまる。
 エレベーターはどんどん登って行く。階数が上になるほど島田は緊張してきた。それだけ地位が高くなるという事だからだ。階数を示す数字はどんどん島田を緊張させていった。


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