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LADY GUN
【推理 推理小説】

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密約-9

 中央署に喜多移送車失踪が伝えられたのは発生から4時間が経過した午後2時頃であった。警視庁本部から島田署長に一報が入り事件が明るみになった。内容は移送中の車両が襲われ喜多と角田を始め運転手が行方不明になったという内容だった。
 「襲われた車両の場所は?」
 「城東市のあるビルの地下駐車場です。」
 「ここから近いじゃないか!しかしどうして地下駐車場に?」
 「犯人グループに誘導されたものと思われます。」
 「誘導された?通常鍵はロックされているはずだ。中への侵入はまず不可能。そんな状態でどうしてみすみす地下駐車場について行くんだ?襲われたとするなら車両は路上で発見されるのが普通だろう?走行中に囲まれたとしても無線で連絡出来るだろうし、緊急事態を知らす方法はいくらでもあるはずだ。なのにどうして連絡も無く抵抗せずに地下駐車場に誘導されたんだ?」
一報してきた本部の署員は奥歯に物が挟まったような言い方をする。
 「と、とにかく現状を報告したまでです…。至急捜査に向かって下さい。」
一方的に電話を切った。
 「おかしい…絶対に何かがおかしい…。角田だって緊急事態に備えた行動は心得ている。本部はやはり何かを隠している…。」
確信を得た島田。とにかく角田俊介が事件に巻き込まれた。一刻も早く見つけださなければいけない。島田はすぐに緊急配備を指示し現場に向かわせるよう手配をかけた。
 「俊介が行方不明ってどういう事ですか!!」
ノックもせずに署長室に飛び込んできた静香。
 「移送中に襲われたようだ。乗員全て行方不明だと。」
 「な…」
言葉を失う静香。頭の中はこれ以上ない程に混乱した。
 「GPSは…!?連絡は…!?」
そんな静香を宥める島田。
 「落ち着け!!はっきり言っておかしい。様子が変だ。本部は何かを隠している。だいたい角田が指名された時点でおかったんだ。何故うちの署の人間が指名されたのか理由が分からない。角田に移送の護衛をさせなきゃならない何か特別な理由があったのではないかと睨んでいるんだ。」
 「俊介に任せなきゃならない理由…?」
 「ああ。田口徹は高田の命を奪ったお前への復讐が目的なんだろ?ならその理由はきっとお前だ。お前に復讐する為に恐らく角田が必要だったんだろう。喜多を奪い去る目的もあったんだろうが、角田を拉致する目的もあったんじゃないかと思うんだ。」
 「わ、私のせい…」
自分を見失いかけている静香に島田は肩を掴み揺らす。
 「しっかりしろ!」
ハッとする静香。刑事としての自分を自ら呼び起こした。


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