投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

LADY GUN
【推理 推理小説】

LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 123 LADY  GUN 125 LADY  GUNの最後へ

加藤綾美の価値-2

 「あ、彼が早川さんです。」
新人アナウンサーが早川学のタクシーを指差した。
 「ありがとうございます。」
新人アナウンサーは帰って行った。タクシーの待機場に停まる早川の元へ歩み寄る静香。静香に気付くと窓を開けた。
 「私に何かご用でしょうか?」
白髪混じりの穏やかそうで真面目そうな50歳ぐらいの男性だ。
 「すみません、こういう者ですが、加藤綾美さんの事でお話を伺いたいのですが。」
警察手帳を見せながら言った。
 「加藤さん?加藤さんに何かあったんですか??」
 「いえ…。」
下手な事は言えない。言葉を濁す静香。早川はそんな空気を読んだような顔をした。
 「私の知っている事なら何でもお話しますよ。」
 「ありがとうございます。」
静香は軽くお辞儀をした。
 「あなたはいつも加藤さんを深夜に自宅まで送っているそうですが。」
 「ええ。殆ど毎日お送りしております。もう一年ぐらいになりますかね。」
 「そうですか。最近何か変わった様子は見受けられましたか?」
 「いや、特には…。」
思い出しながら慎重に答える早川。
もし覆面集団の犯行なら誰かに気づかれるような真似はしないだろうとも思ってもいた。
 「背後に車につけられたら事とはか…?」
 「いやー、まずないですね。加藤さんは飛ばすのが嫌いでしたのでゆっくり走る事をいつも言われてましたから。たいてい後ろの車は遅い私の車を抜いていきますからね。そんなゆっくり走る私の後ろにつける車がいたら忘れる訳がありません。」
 「そうですか…。」
何かしら手がかりが見つかればいいと思っていたが見つかりそうにない事に諦めかけていた。
 「ただ…」
 「ただ…?」
 「これは口止めされている事なんてすが、加藤さんの実家は船橋なんですが、加藤さんが休みに入る前の日は自宅ではなく、実は葛北駅で降りられたんですよ。」
 「えっ…?」
それは大きな情報だ。
 「誰かと待ち合わせしていた様子もありませんでしたし、降ろした後もまるで決まっていた行き先にまっしぐらに歩いていくような感じがしました。誰かに会いに行くなら車の中で電話なりメールなりしてもよさそうですが、それもありませんでした。そもそも加藤さんに彼氏はいませんでしたし友達も殆どいなかったようです。だからなぜ葛北で降りたのかは不明です。」
 「そうなんですか…。貴重な時間ありがとうございました。また何か思い出したらここへ連絡下さい。」
静香は早川に携帯番号を渡した。
 「葛北に行くわよ?」
 「はい!早く終わったらディズニーランドに…」
 「行かない!」
 「ですよね…。」
2人は一度東京駅に戻り葛北駅に向かった。


LADY  GUNの最初へ LADY  GUN 123 LADY  GUN 125 LADY  GUNの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前