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LADY GUN
【推理 推理小説】

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加藤綾美の価値-1

 静香と若菜はクジテレビに出向いた。勿論突然休養発表をされた加藤綾美の件だ。婦警達を拉致している覆面集団に綾美も誘拐されたのではないかとの疑いを確信に変える為クジテレビまで来た。ゆりかもめに乗りお台場駅で降りると観光客や学生達がたくさんいた。2人は周りの楽しそうな表情をして観光やショッピングを楽しむ人らとは真逆の表情をしてクジテレビへ向かう。
 社員用出入口からビルに入る。予め電話でアポを取っていた為、出迎えの新人アナウンサーが既に待っていた。名前と身分を伝えると問題なく中へと通されエレベーターでアナウンス部に向かう。そして接客室に通され椅子に座り安西部長を待っていた。
 間もなく安西部長が現れた。ベテランアナウンサーの安西優子。静香も若菜も随分とテレビで見た事がある。いざ目の前にすると、風格やオーラが溢れていた。
 「クジテレビ、アナウンサー部部長、安西優子です。」
名刺を渡された。
 「加藤綾美の件でお尋ねしたいとの事ですが、先日も警察の方にお話しした通り体調不良で暫く休むと連絡があった事以外、何も分からないんです。」
静香は安西の言葉に引っかかった。
 「誰か警察の人間が来たんですか?」
捜索願いも出ていないし警察が来るのには違和感がある。誰か自分の他に事件性に気付いた者がいると言う事だ。
 「どこの署の者が伺ったんでしょうか?」
 「警視庁本庁の方ですわ?誘拐された可能性はないかと聞かれました。」
 「本庁…?」
お台場にも警察署はある。それがわざわざ本庁の人間が捜査に乗り出してきたのが不思議でならない。ただ言える事は本庁の人間が捜査に乗り出すほど大きな事件に巻き込まれた可能性があるという事だ。それが婦警誘拐事件と繋がっているかどうかは別にして、加藤綾美はただの病気の為の休養ではないと睨んだのだろう。何か嫌な予感がした。
 「彼女は深夜に退社する事が殆どですよね?交通手段は…。」
 「会社で契約しているタクシーです。女性の深夜の帰宅は危険ですからね。何かあったらまずいんで。」
 「そうですか。加藤綾美さんが最後に乗ったタクシーの運転手さんとは連絡つきますか?」
 「その方ならもうすぐ出勤してきますよ?早川学さんと言う几帳面な方ですから知ってる事は全部話してくれるでしょう。」
 「ちなみに本庁の人間はその早川さんには?」
 「会ってませんわ?」
 「そうですか。ご協力ありがとうございました。」
静香と若菜は同じ新人アナウンサーに案内されタクシー乗り場に向かった。


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