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LADY GUN
【推理 推理小説】

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加藤綾美の価値-13

 静香は自分が標的なのだと言うべきか言わないべきか迷った。しかし一刻も早い事件解決に向け中山に正直に話した。犠牲になっている婦警達は自分のせいだと誹謗されるのが嫌だった訳ではない。全て背負う覚悟はある。ただ犯人の目的を明確に伝えておかないと組織に迷惑がかかると判断したからだ。
 夜の23時、遅くにもかかわらず緊急捜査会議が行われた。
 「犯人の名前は田口徹。R4のリーダーだった高田が少年の頃から可愛がっていた現在23歳の男です。高田は神と呼ばれた男に拾われ神の行いを近くで見ていた。今回の事件が約10年前に起きた事件と酷似しているのはその為だと推測されます。田口徹は高田道彦に弟のように可愛がられていたそうです。今回の事件を起こした目的もほぼ断定できました。田口徹にとって兄のように慕っていた高田道彦の命を奪った皆川静香への復讐…、そう断定しました。」
会議室がざわつく。
 「あの事件では私も高田も殺人を犯しました。しかし私は上原さんの行為が美談として語られ世論に守られた形に、一方高田道彦は部下を守る刑事を殺害した悪として扱われました。その事が許せなかったのも要因の一つでしょう。」
 全員が静香の話に耳を傾けた。
 「だからと言って私は過剰に身を守られたいとも思いません。私が目的である以上、いつか必ず私に接触してくるはずです。私は今まで通り捜査をおこないます。ですから皆様は私を囮として使って下さい。存在自体が囮な訳ですから皆様の捜査に役立て下さい。」
静香の思わぬ発言にどよめきが起きる。
 「しかしそんな危険な目には…」
静香はきっぱりと言った。
 「私のせいで危険な目にあっている婦警達はたくさんいます。彼女達に本当に申し訳なく思ってます。彼女達が助かるなら私はどんな危険も怖くない。レイプされたって構わない。ただし彼女達を救って田口徹を逮捕する…。それしか考えておりません。」
静香の決意に圧倒される刑事達。
 「ただ、お願いがあります。」
そう言った時、ある刑事が発言した。
 「上原若菜には言わないで、だろ?そんぐらい俺達には分かってるよ。心配すんなよ。さっさと犯人捕まえような!」
 「はい。ありがとうございます。」
涙目になる静香に少しの沈黙した後、捜査本部長を任された中山部長が言った。
 「もう誰も失ってはいけないし、悲しませてもいけない。そして田口徹を逮捕する。それでいいな!?」
 「はい!」
犯人特定を受けより的を絞れた捜査が始まった。徹夜で資料を再確認し朝を待ち一斉に捜査へと出向く刑事達。石田の車で出署してきた若菜を連れ、静香もいつも通りに捜査に出たのであった。

 「フフフ、ではそろそろおっぱじめますか…。」
半人前の部下を連れ捜査を行う静香を見てモンスターはニヤリと微笑んだ。


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