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LADY GUN
【推理 推理小説】

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田口徹-1

 調べで田口徹という男の人物像が明らかになってくる。母子家庭に育ち、少年時代に母親のパートナーを殴り倒し母親から完全に離れた。母親である田口聡美は徹の名前を聞くだけで顔を強ばらせ多くを語ろうとはしなかった。もはや徹の母親である事を完全に放棄していた。心配も何もしていない様子だった。
 同時に以前田口徹が住んでいた家を偵察に行った事がある静香。母親と思っていたあの若い女性は一体誰だったのかと謎が残る。その家も現在違う人間が住んでおり田口徹とは全く関係のない事が調べで分かっていた。その物件を扱っている不動産の名前を聞いた静香は驚いた。
 「高田…不動産…。」
そう、高田道彦の父の経営する高田不動産だった。もはや因縁すら感じる。静香は高田不動産を訪れた。
 「すみません、こういう者ですが。」
警察手帳を見せようとした静香だが、受付の平井絵里はニコリと笑う。
 「皆川静香様でございますよね。少々お待ち下さい。」
先日訪れたばかりだ。平井絵里も覚えていたようだ。高田泰明に確認を取ると社長室に案内された。
 「今日はどうしたのかな?」
捜査には協力すると約束している泰明は非常に協力的だ。
 「実は物件についてお伺いしたいのですが、横山町の、現在佐竹憲康様という方が住んでいらっしゃるお家なんですが、その前に住んでいた方の情報を分かれば教えて頂きたいのですが…」
泰明は思い当たる節があるような顔をした。
 「あの物件か…。あれは売りに出された時に買ったから詳しくは分からないが、そこに住んでいた女性が失踪したらしいんだ。登記上の書類をもとに親族に連絡しようとしたんだが、記載されている住所にもうおらず連絡が取れなかったらしくて困ってたら、実はその土地の持ち主の北沢七恵という女性は何年か前に亡くなっていた事が判明して、失踪した女性が北沢七恵になりすましてあの家に住んでいたという事だったんだよ。全く謎の多い物件らしいよ。ま、その分格安で買えたから良かったがね。」
 「そうだったんですか…。」
 「もともと北沢七恵という女性は近所付き合いが殆どなく、なりかわってた女性と見かけが殆ど変わらなかったからみんな気づかなかったみたいだ。30歳過ぎの女性にしては若く見えたという話だったな。」
 「確かに。私、以前一度その家を視察しに来た時があって、とても30歳を越えてるようには見えませんでした。でも高校生の息子さんがいたようで仲良いところを見かけました。」
 「息子?息子がいたのか?」
 「ええ。私が見かけたその息子こそが道彦さんの持っていた覆面集団によるレイプ動画に映っていた謎の小学生だったんです。そして今、私が追い求めていた犯人だったんです。」
 「な、何?本当か??」
 「はい。田口徹…。ようやく辿り着きました。」
 「そうか…。奇妙なもんだ。今まで見当もつかなかった犯人が紐を見つけて引っ張ってみれば全て繋がっていたという事か。」
 「はい。皆様のご協力のおかげです。社長様にも…。」
 「いやいや、私は何も。とにかくこれからが勝負だな。くれぐれも気をつけてな?」
 「はい。ありがとうございます。」
静香が帰ろうとすると泰明が平井絵里を呼び見送りをさせた。
 「ご苦労様でした。」
 「ありがとうございました。」
静香の後ろ姿に強い正義感を感じた。


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