神とモンスター-4
やがて麻耶を連れて若菜が帰ってきた。
「麻耶さん、すみません。どうしてもお話が聞きたくて…。」
麻耶は神妙な表情をして入って来た。
「いいの。たくさんの女性警察官を助ける為だから…。」
「ご協力に感謝します。」
頭を深々と下げた。静香の敏腕ぶりは近くでいつも見ている。真実がバレてしまうのではないかと心臓が激しく鼓動していた。
椅子に座る麻耶。
「これは高田道彦の部屋に残されていた動画の全てです。この中に麻耶さんの動画はありませんでした。」
「そ、そう…。(レイプされてないんだからある訳ないの。)良かったぁ…」
「だから安心して下さい。辛い過去を思い出させるようで申し訳ありません。」
「い、いいの…。」
「麻耶さんは高田道彦と面識はありますか?」
「あの覆面男達の中にいたのなら面識あるって事になるかな…。高田道彦としては面識ないわ?」
「そうですか…。ではこの少年とは?」
この質問が一番緊張した麻耶。ここで真実を全て言えば事件解決だ。しかし様々な事が頭に浮かぶ。
「ないわ?私が襲われた時、こんな小さな男はいなかったから。」
「そうですか。美山静香さんとは?」
「あるわ?城南署で一緒だったし、住んでたアパートが先輩と一緒だったから。」
「えっ!?本当ですか?」
「うん。私は1階で先輩が2階。良く遊びに行ったわ?」
「そうなんですか。美山さんが襲われたぐらいにアパート付近で怪しい人間を見た記憶はありますか?」
「…ないわ?事情聴取の時にも聞かれたけど思い当たるような人間はいなかった。」
「犯人は昼間の不在時に美山さんの部屋に侵入していた形跡があるんですが、何か気付いた事は?」
「私、昼間は休みの日もアパートにいなかったから…。ストレス発散であちこち出掛けてたの。あの頃は新人で色々悩んでたりしたから…。」
分かる分かる、みたいに頷く若菜。
「事件以来、美山さんとは?」
「連絡もないし会ってもないわ?どこにいるのかも分からない。その後また事件があって、良く分からないけどオカマだった警官と一緒に行方不明になったとか…」
「オカマ!?」
若菜はびっくりした。
「三上郁子…、いや本名は三上郁男。」
「知ってるんだ…。(そこまで調べてるのね…さすが…。)」
過去の捜査資料は読んだ。
「警察も懸命に探したけどとうとう見つからなかった。その後…」
「捜査を仕切っていた瀬川涼子さんが狙われ、そして被害者になった。誰よりも捜査の情報を持っていた彼女が失踪してしまい捜査は暗礁に乗りあがってしまった…。よね?」
「はい。警察への関与は瀬川涼子さんを最後になくなりました。犯人の動きがなくなり事件は次第に迷宮化していく事になりました。警察は瀬川涼子さんが最終目的だったと定義づけしましたが、実はその後も明るみになっていないレイプ事件が起きていた。今回の分析で犯人の本当の最終目的が明らかになりました。」
静香は優里レイプの動画を見せた。
「この女性に見覚えは…?」
麻耶は震える手を必死で抑え言った。
「知らないわ…?」
静香の目を見ながら言った。
「そうですか…。犯人は小さい頃の恨みでこの女性を狙ったようですね。この女性をレイプする為に他の女性達は巻き添えを食らったとみて間違いないなさそうです。」
「私もついでにレイプされた1人って事か…」
遠くを見つめる目をする麻耶に若菜は泣いてしまった。