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LADY GUN
【推理 推理小説】

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神とモンスター-5

 嘘発見器があったら間違い無く反応を示しているだろう。麻耶の掌は汗びっしょりだった。
 「でも麻耶さんは勇気がありますよね。」
 「どうして?」
 「だって婦警であったがゆえにレイプ犯罪に巻き込まれたのに、こうしてまた警察の中に身を置いているんだもん。普通だったら失踪しないまでも警察には復帰しようだなんてとても思えません。」
静香は本心を言っているのであろうが麻耶には何かを確信していてかまをかけているように聞こえてならない。動揺を隠すので必死だった。
 「私も当時は若菜ちゃんみたいに可愛らしい女の子だったの。ポワ〜ンとして、さ。」
 (私、ポワ〜ンとしてるように見えるんだ…。)
ちょっとショックだった。
 「でも…レイプされて悔しくてショックで、ね。一時期姿をくらませてもう誰も知らない場所で新たな人生を送ろうとも思ったけど、でもこのまま卑怯な手で未来を奪われていいのかって思った。だから私は逃げずに警察官としてレイプなんかに負けない女性になろうと決めたの。初めは署内でもレイプされた女みたいな目で見られてつらかったけど、でもその試練に鍛えられていつの間にか強くなってた。ついでにヘアスタイルやメイクにも凝ってしまってね。思わぬ副産物だったわ?これでも私、高校生からも告白されちゃうのよ?」
 「それは不思議じゃないですよ〜。麻耶さん超キレイだもん!」
 「うん。素敵です。」
若菜の言葉に静香も同意する。
 「でも上層部の人の計らいで事務の仕事をさせて貰ってるけど、でも警察に身を置いている事を誇りに思ってる。」
大きく頷く静香と若菜。
 「麻耶さん、ありがとうございました。私は数え切れないレイプ被害にあった女性の為にも必ず犯人を逮捕します。」
偽善者にとっては心が苦しくなるほどの表情だ。力強く凛々しい姿に麻耶は目を合わせているのが辛くなる。
 「私には何もできないけど、頼むわ…ね?」
 「はい!」
伏し目がちに出て行った麻耶だった。
 「素敵な人…」
目をウルウルさせる若菜に対し静香の顔は笑っていなかった。
 「そうね…。(麻耶さん、何かを隠してる…かな?)」
それがレイプされた動画が何かを犯人に撮られた事からの怯えなのか、あるいは重要な事実を何か知っているのかは分からなかった。しかし麻耶の目の奥に何かベールに包まれた物がある事だけは確かだと静香は感じていたのであった。


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