愛とレイプ-8
動画を見続けるうちに段々口数が少なくなってきた若菜。じっと動画を見つめていた。
(まずかったかな…。やっぱレイプ動画見せるべきではなかったかも…)
きっとショックを受けているのだろうな、そう思った。
「…せない…」
「ん?」
若菜が何か呟いた。静香かわ若菜の顔を見るとか体を震わせ顔を赤く染めて怒りの表情を浮かべている事に気づく。
「許せない!絶対許せないよこいつら!!女を…いや人間をこういうふうに扱えるなんて人間じゃないよ!!何でこんな酷い事が出来るの!?女をこんなに痛めつけて何が楽しいの!?信じられない…。こんな奴ら野放しになんてしておけない!!絶対許せないぃぃぃ!!」
机を叩き立ち上がって息巻いた。
(来た…、上原正芳の遺伝子が…。この正義感…。この子を絶対育てなきゃ…。)
今まで若菜が本気で怒った事はなかった。女性なら誰しもこんな動画を見たら恐怖心を抱いてしまう事だろう。静香は若菜が絶句して恐れを為すものだと思っていた。しかし恐怖に打ち勝ち立ち向かっていこうとする強い正義感を感じた。これがきっかけで浮ついた気持ちがなくなっていけばいい、そう思った。
「まさに鬼畜ね。撮影した動画や画像をネタに口封じしてたんでしょうね。散々恐怖心を植え付けられた挙げ句、自分のこんな姿を見られたらそれまで築き上げたもの全てを崩壊させられてしまう…。辱めを胸にしまっておけば他人に知られる心配はないものね。」
「勇気を持って話してくれれば被害者はなくなるのに…。」
「誰だって他人の安全より自分の安全を取るわ?だから警察は自分の安全を捨ててでも他人の安全を守らなきゃならないの。自分の安全を守る事ができない弱い人達の安全を、ね?」
「はい!」
いい表情で元気よく答えた若菜。今日は1日中動画を見ていた。もう日は暮れ帰る時間だ。石井から電話があり仕事を終わらせ駐車場に行った。
「お疲れ様!」
太い腕を窓を開けたドアにかけながら笑顔で言った。
「毎日すみません。」
「石井ちゃん、サンキュ〜♪」
ちゃらい若菜。
「上原は本当に感謝してんのか?」
「してますよ〜。」
「ならいいけどな?」
「とか言って可愛い私を乗せてドライブできるのが嬉しいくせに〜♪」
「ハハハ!確かにな。まぁ乗れよ。」
「すみません。」
静香は恐縮しきりで車に乗った。