LADY GUN-3
射撃の練習を始める。
「いい?今日は実弾使って練習するわよ?」
「い゛…?無理無理!」
「無理じゃないのよ。やるの。」
「え〜…。」
「基本は変わらないでしょ?いい?実弾に慣れておかないと周りの人にも迷惑がかかる時もあるのよ?いえ、命にさえ関わる時だってある。だから必要なの。」
静香は銃を構える。無駄のないいい構えだ。うっとりしてしまう。
「顎を引いて、目標を定めて、あとしっかりと銃を握ってないと持って行かれるからね?じゃあ撃つよ?」
パン!という乾いた音が響く。
「ひっ!」
若菜は身を小さくしてビビる。火薬の匂いがどうも好きになれない。閉じてしまった目を開けると弾丸は人間を形どった頭の部分の中心を撃ち抜いていた。
「すごーい!さすがぁ!」
「さすがじゃないでしょ…。見てなかったよねぇ?」
「み、見てましたよ…。」
「ふ〜ん…。じゃあやってごらんなさいよ。」
若菜の銃に実弾を込める。
(参ったなぁ…。何とかなるか。)
全く見ていなかった若菜は取りあえず構えてみた。
「ほら顎を引いて…腰を据えて…肩の力を抜いて…」
全ての箇所に注意を受ける。若菜が見ていなかった事などお見通しだ。見ているとは思ってもいない。しかし若菜の為に静香は一から丁寧に教える。
「よし、こんな感じかな。いい?銃はしっかり握ってるのよ?」
「は、はい…」
実弾入りの銃は初めてだ。急に怖くなる。人を殺せる凶器が手の中にある。何より父の命を奪った銃弾。拳銃が重く重く感じた。