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LADY GUN
【推理 推理小説】

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LADY GUN-2

 若菜にとって一番苦手なのが射撃練習だ。そもそも銃で人を狙う事自体普通では考えられない事だ。しかし警察官である以上通らなくてはならないだ。嫌々ながらも練習をする。
 静香は上手い。狙った所にピタリと命中させる。動きにも無駄がなく見ていて美しささえ感じる。
 「先輩、ホント上手いですね〜。私には無理ですよ〜。」
 「誰だって初めから上手くいかないでしょ?それに私だって人を撃つのなんて嫌よ。これは急所を狙う練習じゃなく、あくまで狙った所に撃つ練習だからね?」
 「え〜、でもアメリカ人の警官とか、始めから殺す気満々じゃないですかぁ??」
 「アメリカは銃社会で、こっちがやらなきゃ逆にやられちゃうからってのもあるでしょ?日本ではやたらめったら頭だの心臓だの撃たないわよ。」
 「そんな上手く銃を扱えませんよ。私、いざとなったらパニクって乱射しちゃうと思います。」
射撃だけには乗り気でない若菜を見て静香は言わないでおこうと思った言葉を言う。
 「銃は憎しみで撃つものではない、愛情で引き金を引くものだ…、あなたのお父さんから教わった教訓よ?」
 「えっ?」
若菜の顔つきが変わる。
 「いい?警察が人に銃を向けるのは、目の前の犯罪者にこれ以上罪を犯させない為なのよ?いくら憎くても警官としてのプライドはいつも持ってなきゃだめ。」
 「それもお父さんの言葉ですか?」
 「ええ、そうよ?お父さんにはいつも言われたわ?刑事という職業柄、強い女でなければいけないけど、でも私には女性らしい刑事になって欲しいっていつも言われたわ?言葉使い、容姿、態度、全ての事に対して常に女らしくあれと、ね?私はそれを今でも胸に残ってる。銃を持つ時も常に女らしさを忘れるな、女性ならではの優しさで引き金を引けってね。それでこの銃を特注で作って貰ったの。」
静香は自分の銃を見せる。確かに普通の銃とは違い全体的に丸みを帯びておりスタイリッシュに見える。そしてピンク色の文字で何かが書かれている。
 「LADY GUN…?」
 「ええ。私専用の銃。力の弱い女の私でも何の不自由もなく扱える銃。あなたのお父さんが私にくれた宝物。この銃は、悪いけど若菜にも貸す事は出来ないわ?私の尊敬する先輩が私の為に作ってくれた銃だから、誰にも渡せないの。」
感慨深く銃を見つめる静香。
 「いいじゃん、貸してよ!」
完全に空気を読まない若菜は軽々しく手をのばす。
 「めっ!!」
若菜の手を思い切りひっぱたく。
 「い、痛ったぁい!」
 「私を超えたら、その時譲るわよ。それまではダメ!」
 「けち…。」
若菜は少しジェラシーを感じた。以来、若菜の頭の中には常に静香のLADY GUNがあった。しかし静香の宝物を汚すつもりはない。いつかそれを握れる日が来るまで頑張って銃の練習をしようと心に決めた。


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