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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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護りたいのに・・-2

「スミマセン、わざわざ乗せて頂いて・・今日はお休みだったんじゃ?」
申し訳なさそうに樹里奈の父に申す
「うん、まぁね・・さっきまで甲子園見てたし」
「ホント、スミマセンせっかくのお休みで疲れているハズなのに」
「なんて礼儀正しいんだ」とでも言わんばかりにやや動揺するも
「いやいや!そんないいよいいよ、そこまで畏まんなくたってこのくらい」
「で、でもぉ」

「いいって言ってるんだからお言葉に甘えなさいよっ!」
さっきから黙って聞いてた樹里奈が堪忍の尾が切れ、喋り出す
「大体、お父さんは休みだからってゴロゴロしてるんだから良い運動よ、まぁ
ただ車運転してたダケだけど、家でグータラしてるよりは・・」
「おいおい何だよ人がせっかく雨の中迎えに来てやったっていうのに」
「それにしても来るの遅いよ、お母さんの時よりも倍は時間掛かってるよ」
「そんな事はないだろ、せいぜい母さんよりちょっと遅いくらいで」
「読んだらすぐ来てくださいね、どーせ「コマーシャルになってから」とか言って
グズグズと遅れたんでしょ」

親子の会話を何処か羨めしそうに見つめ
「いやぁー、ははは今日の試合は中々なものでね、先月入院してた選手がようやくっ」
「はいはいはいはい、そういう事があるたびに私の楽しみにしてた(ドラマ)至福の
ひと時が奪われる訳ね?試合延長だので・・」
「なーにが至福の一時だ、良い中学生が韓流ドラマ何ぞに嵌りよって!」
「何よっ!私のデン・トンコン様を侮辱する気?」
「してねーよっ!」

殺風景な雨模様ダガ、車内に流れる暖かくも和やかな空気
二人の会話を聞き、思わず笑みを浮かべる

「寒くない、大丈夫?」
今も尚、降り続ける雨を弾きつつ、目的地へ走る車
「大丈夫・・」
と、言いつつもさっきみたいに体を震わせ言ってる事とやってる事が矛盾しており
樹里奈は何を言い出す事も無くただ顔を強張らせ、父に暖房をつけるよう頼み
車内に暖が入り、彼の震えも次第に止まり
「ふぅ・・・」
何気なくホッとする彼に呆れ彼女は
「なんで言ってくれないのかな?佐藤しゅう君」
「なんでってそりゃ、俺のような想わぬ同乗者の為だけにいちいち」

「馬鹿!」
カチンと来て、つい怒号を放つ樹里奈に二人は驚き
「もぅー、どうしてなのよいい加減にして!」
「だ、だって・・」
「周りの人だって心配するの、頼むからそれを理解して!」
相手を気遣い自分の事は二の次、それは彼の良い所であり悪い所でもある
ソレは彼女も十分理解してはいるも

「しゅう君・・だったかな、遠慮はしなくてもいいよ、君はいわば大事なお客だから」
見るに見かねた父が彼女の言葉を上乗せし
彼はそのまま黙り出し、今だ降り続ける雨に目をやり・・


車が停止し、軽くお礼を良い晴れ晴れとするかのように車から出ると
「・・え?」
そこにはある筈の見慣れた家は無く、代わりに一度見た事のある一軒家が聳え
「ちょっと、どういうことだよ、家まで送ってくれるんじゃ・・」
父が車に車庫を入れて居る中
「勿論そのつもりよ、ただちょっと・・」
彼は彼女を怒らせてしまったと思い慌てて謝罪をする
「ご、ごめん俺・・そんなつもりじゃ、だって・・」
「だって・・何よ、別に私怒ってなんかないよ」

「でも・・」

は、ハックションッ!

困惑する中、外の低気温からクシャミをするしゅう
「このままじゃ風邪引くからさ・・」
そういって彼女は彼を家に誘い込もうとし
「いやぁ、いくらなんでもそこまでしてもらっては」
再び眉を立てる樹里奈

「入んなよ、そんな遠慮なんかしないで」
車庫に車を納め終えた父が戻ってきた
「で、でも・・」
樹里奈も何時まで経ってもウジウジしてる彼の腕を引っ張りやや強引に彼を家に入れて


「パジャマ、置いとくね」
「あー、スミマセン」
暖かい湯がその冷え切った肌に触れ、何処と無くラベンダーの香りが漂い
樹里奈の計らいで彼女の風呂場を貸して貰い、湯に浸かるしゅう、暖かく気分が
落ち着くのダガ、気持ちは至って落ち着かずに居て・・
「はぁ」
思わず溜息をつき上昇していく湯煙をボー然と眺め

バシャン!
湯を顔に打ち、湯に映る自分の顔を見つめ物想いに耽け
・・どうして彼女は、蓮見サンはここまでしてくれるのだろう
そりゃ他人からしたら心配で仕方無いのだろう、彼女に見苦しい所を見せてしまったのだろう、でもだからって何もここまでしなくても

想い想いに耽るしゅう、彼は彼女の想いには今だ気づかずにいて

それからしゅうは風呂から上がり樹里奈の母が持ってきた父のパジャマを着る事に
「なんだコレ」
案の定ブカブカで苦戦していると
「ご飯出来たって」
ノックもせずに戸を開ける樹里奈
「わわっ、は蓮見サン!」
急に異性が入り込んで驚きその拍子で・・

「きゃ?!」
彼女を下敷きに押し倒してしまい

「う・・んあ、あっゴメン!大丈夫?」
目を開けると彼女が真っ先に目にしたのは

「あら?しゅう君ボタン間違えてるよ」
見ると何処となくむちゃくちゃな感じで
「し、仕方ないだろブカブカだし、大体いきなり!うわぁ」
話も聞かず彼のボタンを整える
「ちょ、ちょっとやめてよ」
顔を想いっきり赤く染め困り出して・・
「ホラッ、ジッとして!暴れないの!もうすぐ終わるから」
「良いってば自分でやるよ」、と言う前に「はい、おしまい」と軽く両手で整った
パジャマを叩く、聞かんぼの子供の面倒を見るように

「で?今度は俺をどうするつもりさ」
溜息まじりにそう言うと
「やーね、別に取って喰いやしませんよご飯できたって言ったじゃない」
「えっ?お風呂に使わせてくれただけでなく今度は食事まで?」
「そうだよ、アハッまるで旅館見たーい、違うか」


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