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栗花晩景
【その他 官能小説】

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雨模様(2)-11

 スカートを捲くって下着を引き下ろした時には自分を見失っていた。
「いや、やめて」
股間に現れた陰毛は薄い。横たわった体は人形のように見えた。
(子供みたいだ……)
一瞬胸を衝かれたものの制御とはならない。初めて見た女性器!昂奮は破裂した。
 限界にきていた。急いでズボンと下着を脱ぎ捨て、脚を開かせようとするが突っ張って動かない。しかも体をよじり、さらに丸くなろうと防御の体勢になりつつある。
「やめて」
「美紗ちゃん、好きだ!」
股に割り込む時間はない。切迫していた。仰向けにして美紗に跨って乱暴にその部分に突き立てた。完全に閉じられた股間にねじ込む。

「いや!いや!」
(入らない!)
押しつけていると急上昇が起こった。
(だめだ……)
「ああ!」
美紗にかぶさると怒涛の放出が始まった。

「許してください……」
消え入るようなか細い声になぜかかっとしてしまった。
「くそっ」と声に出したかは憶えていない。が、腹が立った。未遂に終わったことで気持ちの収拾ができなくなった。
 思いやりなどまるでない。体を起こすと精液にまみれたペニスが美紗の股間で萎れている。苛立ちと醒めゆく昂奮が交錯した。
(ここだ!)
荒々しく指を差しこんだ。
「うう!」
精液のぬめりを縫って指が亀裂をくぐった。
「いやあ!」
美紗の叫びに我に返った。
(美紗……)
その顔は滂沱の中にあった。唇は震えている。
「ごめん、ごめんね」
呼びかけながらどうしていいかわからない。とっさに部屋を飛び出したのはタオルを取りにいくためだった。汚した体を拭うことしか浮かばなかった。

(大変なことをしてしまった)
事の重大さが胸を占めて動揺が激しく波打つ。
 タオルを濡らしているとドアの音が響いて重い残響が伝わってきた。
窓から走って行く彼女の後姿が見えた。
(追いかけよう……)
まだ間に合う。近道も知ってる。……
 しかし、動けない。ふと下半身が裸であったことに気づき、惨めな姿に悄然とした。

 美紗の下着と青い靴下が片方、部屋の隅に残されてあった。恐怖のあまりそのまま飛び出していったのだろう。ジーパンの入った二つの紙袋が悲しかった。

 翌日、高校の近くをうろつきながら校舎を仰ぎ見た。春休みで美紗がいるはずはない。クラブ活動の生徒たちの声が聞こえてくる。
 手を握り合った校門。美紗が走って出ててくる気がしてしばらくたたずんでいた。

(取り返しはつかない……)
電話をかけることはどうしてもできなかった。美紗は私の行為をどのように受け止めただろう。愛するが故の衝動とは、おそらく理解してはくれないだろう。獣に変身して犯そうとした。辱めを受けたことだけが心に刻まれたに決まっている。
 やはり電話はできない。……美紗からの連絡を待ち、祈るしかない。それはとても儚い、絶望的な祈りではあった。
 そして記録映画の映像のように時間を隔てた感覚のまま日々が過ぎていった。
 


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