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輪切りの才能
【SF 官能小説】

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諦めの代償-1

灰原長いまつ毛に止まって零れそうな涙を溜めながら口をパクパクしている。
「可愛い灰原がこんなに泣き虫だったなんて知らなかったよ、でも泣いてる顔も綺麗だよ安心して」
聞いてないのか必死に何かを訴えてる。
「うん、うん、何言ってるかわからないよ、でも、聞いてくれるかな?」
灰原は相変わらず涙をながしながら口をパクパクしていて、僕は涙を拭ってあげると
「いいから、黙ってきいて、聞いてくれないと一生喋れなくするよ いいの?」と聞いた
泣いてる灰原は止まり、目を真っ赤にして鼻をすすっている。
カバンの中の胴体は肩がヒクヒク上がっていた。
「うん、ありがとう」灰原の顔を手で挟み

「まず初めに灰原は僕にウソをついたよね?」
灰原の目から再び涙が落ちて口がワラワラしている。
「あ、返事出来ないのか、それじゃ瞬き2回で”はい”にしたから、答えてね」”いいえ”の合図は無い。
伏し目がちに、瞬き二回した。
「そう、認める勇気が必要だね、それでは彼氏はいないんだね」
瞬きを二回した。
「よかった、僕の情報が違ったらどうしようかと思ったよ」
灰原の口が動くけど何も聞こえない。
「灰原の事が好きだから少し強引だけど連れてきてしまった。 ゆるしてくれるかな?」
ギョ!とした顔になり、口をパクパクしてる。
「あれ? 許してくれないのかな? 僕の愛が足りないのかも、でもお互い様だから許してくれるよね」
灰原は眉根を寄せて口をパクパクしてる、何言ってんだろう聞きたくなった。
「……う〜ん やっぱり何言ってるのかわからないよ、もし灰原が騒がないって約束するなら喋れる様にするけど、どう?」
パクパクしてた灰原は瞬きを二回して、それから何回も瞬きした。
「え、おいおい、二回でいいよ そのかわり大声だしたり、騒いだり、僕の話を遮ったりしたら、
 僕は小心者なので二度と喋れない様にするけど、それでもいいかな?」
灰原は少しびっくりした顔で、ゆっくりと瞬きを二回した。
「約束だよ」言った途端にコップに入った舌と声帯が一瞬で消えた。

「……あ、しゃべれる、あの…きゃ!」
「うわぁ〜やっぱりいい声だよね。」灰原の声が綺麗すぎて思わず口に指を入れてしまった。
「あの……ころさないでくらさい……」やっぱり舌は口の中にある方がいいと思った。
「何言ってんの? そんな怖い事するわけないじゃん、それよりお互いさまなんで、僕の事も認めてくれるよね」
灰原の舌をつまんで触っていると
「……はい、それより……」と認めてくれた。



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