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輪切りの才能
【SF 官能小説】

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大橋で決意-1

新入社員の灰原理恵は、黒目が大きく、ショートが似合う可愛くて明るい娘だ。
当然、社内ですぐに人気者になり、腕に自信がある男共が撃沈しているとの噂を聞いた。
そして幸運なことに、僕が教育係に任命された。

よく動き、物覚えもいい、昼食の誘いも快く受け入れてくれる。
彼女と食事している事に嫉妬したイケメン達から小さな嫌がらせもあるほどだ。
自分は、なるべく良い先輩を装いつつ、隙があればHなこと出来ないか伺っていたが、
蝶のように舞、掴めそうで掴めないような、すんでの所でかわされるのだ。
でも、かわされれば、かわされるほど灰原への想いは増していくばかり、
とうとう先輩であるにもかかわらず、告白してしまった。

しかし、結果は惨敗、
灰原は断り慣れた感じで少し喜びながら、僕を傷つけない様に言葉を選んでいた、
でも僕はショックのあまり、その場から逃げ出し、
「よし、死のう」と決意し、大橋から飛び降りたのだ。

気がつけば、すごい高さから落ちたにもかかわらず、怪我すらしていなくて、
代わりに爺さんが「わしの力を返せー」と怒鳴っている。

何のことかと聞けば、その爺さんは、なんと超能力者で、瞬間移動ができるそうだ、
僕が落ちてきた時に能力を使い果たした責任をとれと言っている。

とんでもないイカレた爺さんの長い説教を聞いてる最中に突然、
爺さんの首がとれた。
二人は驚き、死なない爺さんを妖怪扱いしたけど、違うらしい。
状況を理解した爺さんは、とれた首を突き出して僕に説明する。

どうやら爺さんの瞬間移動能力が僕に移ったのだと言っている、
瞬間移動とは、こちらの空間とあちらの空間を入れ替える事で移動できるらしい。
僕はその空間が作れないらしく、こっちとあっちで次元をつなげる事しか出来ないそうだ。
だから、爺さんの首の境目をそれぞれ違う場所につなげてしまった事で、首がとれたらしい。

はっきり言って、僕には理解できない。
とりあえず、「戻れ」と念じると、爺さんの腕に抱えていた頭が、元の位置に戻った。
爺さんは「元に戻す方法を探してくる。 お前の輪切りにする能力は危険じゃ、絶対に使うなよ」と念を押された。

がに股で走っていく爺さんの姿が遠のいていくのを見送り、
足元を見ると、花が綺麗に半分に割れて風になびいている。
飛んできた虫が器用にその花の蜜をすすっていた。


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