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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-3



「迎え?ありがと!」

とりあえず、そう言って笑顔を見せた。
しかし拓斗は瑞稀を見ている目を厳しくしてしまった。
それにたじろぎながらも開けようとしていた門から手を離して拓斗の横を通り過ぎた。
その腕を拓斗が反射的に掴んで、足を止めさせる。
瑞稀は突然の展開に頭が真っ白になるがそれを悟られないように顔を見ずに言葉を捜した。
だが、冷静にいることが出来ないために言葉を出すことが出来なくて焦る。
既に夕焼け色が終わりそうな空から太陽が姿を消したとき。瑞稀はやっと言葉を発した。

「む、迎えに行かせるくらいだから待ってんだよね。早く行かなきゃだし、離して」
「・・花火。見たいんならこっちの方がいい」

そう言った拓斗は掴んだままの腕を無理やり引っ張り瑞稀が手をかけていた門の扉を開けた。
それでも拓斗の足は止まらずに校庭を横切っていく。
引っ張られるがまま足を動かしていく瑞稀は拓斗の考えが分からずにただ前を向いて転ばないように早歩きでついていくしかない
校庭脇にあるプールまで来たとき、拓斗がフェンスを開けるために足を止めた。その瞬間を狙って瑞稀が一体何なのかと言おうとしたがすぐに開いてしまい、また引っ張られる。
結局、拓斗の真意を聞けないまま、瑞稀はプールサイドへと足を踏み入れた。

久々の風景に、瑞稀は辺りを見回した。
緑色のベンチが置かれている奥側のサイドで、いつも監督の教師が笛を鳴らして自動車道している場面を思い出される。
思い出に浸っていると、プールの縁まで再び引っ張られた。
座れっていうことなのか、拓斗は瑞稀の手を離すと水が半分までしか入れられていないプールの縁に座った。
瑞稀は少し隙間を開けてその隣に。なんとなく、今の雰囲気の拓斗を放って秋乃の元へ行く気が起きなかった。秋乃に遅くなるとメールを送った携帯を万が一にでも濡れないようにと少し自分から遠ざけて置く。

ふと隣を見ると、瑞稀の様子をずっと見ていた拓斗と目があった。
すぐに逸らしてしまうが、瑞稀は疑問を解決させる為にまず先ほどから聞けずにいた言葉を吐き出した。

「・・・何でココに連れてきたの」

出た声は、自分でも驚くくらい低かった。だが、赤くなった手首を視界に入れると当然な気もしてきた。
少し、間があってから拓斗の返事が返ってきた。

「花火、ここからなら良く見えるから」
「・・・へぇ・・そうなんだ・・」

瑞稀が怒りを忘れて納得した瞬間、瑞稀たちの真上で花火が大きな音を立てて上がった。
思わず、わあ・・!!という喜びの声を上げる。無邪気な笑顔で。
久しぶりに見る瑞稀の笑顔に、拓斗は何かおされたモノを感じた。そして、花火に夢中になっている瑞稀に近づいた。拓斗の手が、瑞稀に伸ばされようとした瞬間、拓斗に花火スポットのお礼を言おうとした瑞稀がタイミング良く振り返った。

「・・っ!!!」

その近さに驚いて、目を見開いた。開いた口を、閉じることも出来なかった。
戸惑っている瑞稀に構わず、拓斗は更に近づいた。
唇が触れようとした瞬間。

《バシッ!!》

反射的に瑞稀が拓斗の頬を叩いた。




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