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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2


次の日。
花火日よりと言えるほど、空には雲一つ無い。これなら、花火も綺麗に映えるだろう。
ショートパンツに、オレンジのTシャツというラフな格好で家を出た瑞稀は意気揚々と花火大会場所である空き地に向かっていた。
秋乃にメールしながら歩いていると、もう小学校の近くまで来ていた。
空き地に行くには、小学校を通る必要は無い。

「学校・・懐かしいなー。もう卒業してから3年経つんだなー・・」

そう一人で呟くと、ふと桜の木が見たくなった。
毎日毎日、飽きることのなく見上げていたあの桜の木。
もう花は咲いていないだろうが、元気でいるのか見ておきたくなった。
着くであろう時間も少し早かったことも幸いして寄り道していく気が生まれた。

「・・久々に行ってみようか。」

誰に言うわけでもなく、ただ一人で呟いた瑞稀は点滅を始めた信号の横断歩道を駆け足で渡って、校門へと向かった。




「あ、見えた!・・あー、あんま変わってないなー」

さすがに校門から見ることが出来なかったので、少し歩いて、南門と呼ばれる門から見る。この門は夏休み時のプールの授業の時しか開けられない。
校舎から一番遠くにある門で、とっても小さい。今の瑞稀なら足をかけて飛び越えることが出来そうだ。(しないが。)

「さて、そろそろ行かないとな。秋乃に会わなきゃだしねー」
「・・誰に会うんだよ」

またも、独り言のつもりで呟いた言葉に、来るわけがない答えを自分の後ろから聞こえ、一瞬、動けなくなる。
しかし、その声が誰か理解するとバッと顔をあげて振り返った。
その声は、中学に入ってからずっと忘れようと努力してきた想いを抱き続けた人。

「・・・拓斗。」
「・・よぉ、久しぶり」
「・・どうしてココに?」
「あぁ、柊が“瑞稀が花火大会来るって言ってたから迎えに行ってきな”って言ったんだ。」

・・・余計なことを。
ぼそっと言った呟きは、拓斗には気づかれずに済んだようだった。
何故忘れようと頑張っているところで、こうなってしまうのだろうか。
自分のやっていることがバカらしく思えてきてしまうではないか。
そう頭で思っていても、心のどこかで少し嬉しく思っている自分がいた。
その相容れない頭と心。切り離せればどれだけ楽だろう。

そう自嘲した瑞稀は、少し息を吐き出した。
前の時・・自分の気持ちを自覚していなかった時のように、接する為に。




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