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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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純血-5

 力、美貌、魔術師としての権威、それらに勝る自分に決して屈しないこの男を追い込んだ時。

それは彼に至極の快感と恍惚をもたらす。

ベッドに横たわるアズールはされるがままで、自分の力によって首すら自由には動かせないのだ。

底なし沼に嵌め込まれ呼吸だけが許されたかのように、緊縛はアズールから全ての機能を取り上げている。

傲慢な野心を持つノアにとってアズールという人間の征服はなによりの娯楽であった。

「・・・・ノ、ア」

「どうしたの?アズール」

「・・・・解け」

「イクまで解かないよ、せっかく久しぶりに二人きりになれたんだからね」

「解け」

それは低く耳を突き、声というよりは目で訴えた言葉だった。

怒りに似た圧力に一瞬怯むも、ノアはニヤリと口端を釣り上げる。

「あの子がそんなに心配?今日届いた玩具なのに酷くご執心なんだね」

「ああ、・・・・だから、離してくれ」

「アズールがそんなに気に入るなんて俺も興味あるな」

「ノア」

掠れたが、今度はハッキリと唇からその声は吐き出された。

映ったものを蔑むような暗く深く、欲情とは異なった熱を燻らせている瞳。

心臓を巡り身体中に送られ流れるノアの体液は性感帯を中心に作用する為、触れられていない場所は次第に神経を取り戻しつつあった。

重点的に陰部への強い刺激を与えられたアズールは、言葉をまず取り返すよう意識を集中させたのである。

それは決して容易いことではなく、ノアは呆れを含んだ感嘆の息を溢す。


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