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私の夏
【青春 恋愛小説】

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夢の島到着-2

 しばらく港で写真を撮ったりしてはしゃいだ後、ツアー会社が用意したバスに乗り込んだ。

 その時のあたしは自分が勘違いしていたことに気がついていなかった。あたしはバスに乗り込む前、そして乗り込んだ後も、キョロキョロと辺りを見回していた。そう、ナツくん達が来るのを待っていたのだ。

 ナツくん達が来ないまま、無情にもバスはホテルに向かって走り出した。

 え―?何で?あたしは移動中のバスの窓から停車中のバスや通行人を目を皿の様にして次々に目で追っていた。

「ナッちゃん、何キョロキョロしてるん?若しかしてあの人ら探してるん?」

 隣に座ったトモちゃんが聞いてきた。

「えっ?あ、ああ、うん、そう…」

「一緒のホテルとちゃうかったんやね。あたし、同じ船室やったから、ホテルも一緒やと思てたわ」

「あたしも勘違いしてたみたい」

 そう思った途端、昨日からの怒りが急激に冷めてきた。

 初めてのツアー旅行。なのでツアー会社のシステムなんかは知る由もなかった。

 沖縄に到着してからも船で過ごしたように、あたしの周りにまとわりついてくると考えていた。だから冷たい態度を取ってきたけど、あれでお別れならもっとちゃんと向き合えばよかったのかな…

 バスはホテルを順番に周り、三つ目に止まったホテルがあたし達の泊るところだった。

 バスから降り、チェックインを済ませたあたし達は、早速部屋に入って荷物を放り出した。

 激安ツアーが用意した部屋はとても小じんまりした部屋だったけど、そこは友だち同志の初めての旅行だよね。バスでは下がり気味だったあたしのテンションだけど、なんだかワケも解らず回復したみたい。

「ヤッホ―――――イ!」

 真新しいシーツを被せたベッドに思わず飛び乗ってしまほど、見事に復活を果たしたのだ。

「ふ〜、結構綺麗な部屋やないの〜♪」

 あたしはベッドのバネ確かめるように体をバウンドさせた。

「こら!そこの子供!二日も風呂に入ってなかったんやで。そんな汚れた体でベッドに乗らんと順番にシャワーを浴びて着替えなさい」

 トモちゃんは二日間も風呂に入れなかったことが我慢の限界と言った顔をした。

「トモちゃん待って。それよりも先にナッちゃんのこと聞いとかなアカン」

 ユーコはニヤリと笑った。

「ホンマやな、ここにはあの人らも居らんし、コマッタちゃんのハートももう溶けたやろ」

 トモちゃんも意地悪く聞いてきた。

「ナッちゃん、何があったん?襲われたとか…」

 ミヤちんも興味深々。

 あたしも子供じゃないので、ここまで言われていつまでもむくれ続ける訳にもいかなかった。フンだ!みんなで寄ってたかって。

「あいつ、あたしが星に熱中してる隙に、イキナリ手を握ってキスしようとしたんやで!」

「わあ、積極的やなあ」

「なんや、キスだけかいな。あんたの怒りっぷり見たらそれ以上かと思たわ」

 トモちゃんが感心したのに対して、ユーコが呆れ顔で言った。

「ユーコは黙っとき!ほんでほんで?どないなったん?」

 ミヤちんはさらに興味深々で聞いてきた。

「引っ叩いたった!」

「え―――!せっかくのチャンスやのに勿体ない…」

「ユーコ、あんた何言うてんの!出会ってから一日しか経ってないねんで。有りえへんわ」

「あたしは出会ったその日の内やったで」

「ユーコは特別やの!トモちゃんとミヤちんはわかるやんな」

「う〜ん、場合によったらキスくらいアリかな」

「あたしもOKやで、雰囲気によってはその次もええかな」

 なんとミヤちんまで…

「ゲ―――!あんたら不純すぎるわ」

 あたしは呆れかえった。 アカン、この子ら乱れきってる。

「それにあんたらは気付かへんかったけど、あの子ら高校生やってんで!」

「え―――!年上やと思てたわ。それでサングラスで誤魔化してたんか」

「サングラス掛けてたんは違う理由やけど…」

「年下でもええやん、余計な気ぃ使わんでいいかもしれんよ」

 ミヤちんは細かいことに拘らなさすぎるのよ。

「あたしはイヤや、年上がええもん」

「年下でも気が合えばええと思うけどなあ」

 ミヤちんは食い下がった。

「そしたらナッちゃん、仮にナツくんが年上やったらどうなん?対象外か?」

 ユーコが聞いてきた。 えっ?どうなんだろ?

「う〜ん、わからん。でもやらしいのんはイヤや」

「アホやなあ、男はそんなもんやで。そしたらそのやらしい要素を引いたらどうなん?」

「う〜ん…」

「顔はタイプちゃうかったん?あんたメンクイやんか」

「うん、可愛かった。容姿はOK」

「そうそう素直になりや。ドキドキせえへんかったんか?」

「う〜ん、チョットした」

「それやったら逃げたらアカン。ナッちゃんはもっと大人にならなアカンわ」

 ユーコは勝手に決め付けた。

「そうや、ナッちゃんも直ぐにむくれるん止めて少しは大人にならなな」

「ホンマホンマ、子守するこっちの身になってな」

 う〜、よってたかって人を子供扱いして〜




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