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私の夏
【青春 恋愛小説】

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夢の島到着-1

 船での最後の夜はとても衝撃的だったことは事実だ。ホントに最後まで衝撃的…

 吸いこまれそうなほど劇的に綺麗な星達。あたしと同じ名前で、さらにあたしと同じ誕生日の人とのしばしの奇跡的な交感。

 ず〜っと気になってたサングラスは殴られた青たんが恥ずかしかっただけの単純なことだったこと。サングラスを取った顔は意外と可愛い顔立ちをしていたこと。

 そしてそして一番衝撃的だったのが、年上と思っていた相手が実は一つ下で、なおかつ高校生だったってこと。

 正直に言うと誕生日まで一緒だったと解った時は、一瞬運命の赤い糸を密かに信じた程だったのよ。ハンサムだったしね。

 でも年下はダメだ。どんなにカッコ良くてもあたしの理想と真逆なのよね。あたしの理想は相談したい方で相談をされる方じゃないんだからね!

 それに最後にあんなことをするなんて―――――っ!




「ナッちゃん、もうそろそろ着くよ、起きて降りる用意せなアカンで」

 ミヤちんの呑気な声が寝不足の頭に響く。

「う〜ん、眠たいよ〜」

「あんた昨日は興奮して寝られへんかったとか?」

「違う違う!腹が立って寝られへんかったんや」

 ユーコの大人びた声で、一気に頭がシャンとして、がばっと跳ね起きた!

「どないしたん?昨日も帰ってきたと思たら何も言わんと寝てしもてからに」

 トモちゃんが心配そうに覗きこむ。

「う〜、言いたくない」

「うわ〜、またかいな、ナッちゃんが恋愛するんは大変やなあ」

 ユーコは呆れたように言った。

「う〜、恋愛なんかとちゃうわ」

「ナッちゃんがこうなったアカンわ。しばらく放っとき。その内に溶け出すから」

 トモちゃん。あたしはアイスじゃない!

 あたしはワザとナツくんに背中を向けて降りる準備をした。そうこうする内に船は港に入って行く。

 あたし達は荷物を持ち部屋を出ようとしたところでナツくんと目が合った。起きてからず〜っと無視していたあたしが、ようやく目を合わせたので、ヤツは嬉しそうに笑って手を振った。

 フン!こんなヤツは無視だね。あたしは「フンッ!と声に出してソッポを向き、そそくさと部屋を出て行った。

「ナッちゃ〜ん、あの人落ち込んでたよ。なんか可哀想やで」

 ミヤちんが小走りで追いかけながら言った。

「知らんもん」

 甲板に出ると、徐々に近づく陸地を見ている多くの乗客の興奮が伝わってきそうだった。

 船が港に着きタラップが下された瞬間、船上から一斉に「わー」と言う歓声と拍手が上がった。感動的だね〜!

 ついに来たぞ―!沖縄だ―――!32時間からようやく解放されたんだ―――!

 順番を待ち、タラップを降りて沖縄の地を踏んだ時、なぜだか陸が揺れているように感じた。船酔いがぶり返したのかと心配になったけど、それも一瞬の事。32時間ぶりの陸地にあたしは衝動が抑えきれず、子供のようにその場で思いっきりジャンプした。

「ヤッホ―――――イ!」


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