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私の夏
【青春 恋愛小説】

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夢の島到着-3

 あたしの気持ちを度外視し、あたしが子供過ぎるという結論を、彼女らは勝手に下した。というよりもなんだかあたしの浮いた話を面白がってるみたいに思える。絶対にそうだ!

「で、今日ナツくんとどこで会うん?約束してるんやろ?」

「えっ?」

 ユーコの質問に対して、あたしは戸惑った。

「あちゃー、してないんかいな。ホテルがどこかも聞いてないんやろ?もう会う機会無いかもしれんで」

 そう断定されてみると、昨日の『顔も見たくない!』という感情は急激に消滅してきた。

「まっ、心配せんでもヤツらも沖縄に来たんやから海ぐらい満喫するやろうし、海で会えると思うで」

 ユーコ、海って広いけど…

 あたし達は順番にシャワーを浴びてから、朝食を食べに行くことにした。結局、船に乗っている間は船酔いの影響もあって殆ど食事を採っていなかったので、この時は究極に腹ペコだったのだ。

 ケチケチ旅行なので高いホテルでの食事はパス。目に入った全国共通「M」の看板の店に入り、ハンバーガーを立て続けに3個も食べてしまった。ポテト小も。あとシィエイクとコーヒー♪

「そんなによく入るなあ」

 呆れられた。あたしと同じだけ食べたミヤちんを除いた二人に。

 朝食を食べて一旦ホテルに帰り、手早く着替えた。急げ!海があたしを待ってる!

 あたし達が来たのは数あるビーチの中で比較的有名なビーチだ。

 7月最後のこの日も天気に恵まれ過ぎて、サングラスが無ければ目が痛い。波打ち際の海の色は砂の色をそのまま透すほど透明度が高く、目を波打ち際から沖へ向けるに従い薄い水色となり、やがてエメラルドグリーンを経て深い紺碧に変わる。紺碧の水平線の彼方に入道雲が浮かび、夏の力強さをこれでもかと伝えてくる。

 凄い凄い!日本にこんな光景があったなんて!

 あたしとミヤちんはビーチパラソルの横に荷物を投げ置くと、歓声を上げながら一目散に海へと走った。ユーコとトモちゃんは荷物を置きながら、またまた呆れ返ってる事だろうな。

 海に足を入れた瞬間、目の前で小さな魚が一斉にとび跳ねた。うわっ凄い!あたしは慌ててトモちゃん達のところに戻った。

「お魚一杯やで!早くおいで!」

 荷物の中から水中眼鏡を引っ張り出しながら、興奮気味に伝えると、再び海へと引き返した。

「ナッちゃん、こけなや、海は逃げへんよ」

 トモちゃんの声を背中に聞きながら、あたしは見事にこけてしまった。

「ぎゃ!」

「バカナツネ!」

 あきれ返ったトモちゃんの声が耳に痛い。

「いたたた、いった〜い」

「ナッちゃん、良かったな〜、昨日はファーストキスのチャンス逃したけど、今できたやんか〜」

 顔に付いた砂を払うあたしに、ユーコのノンビリした声が聞こえた。

「どういう意味よ?」

「ナッちゃんはナツくんが頼りないそうやけど、地球くんはでっかくて頼り甲斐あるもんな」

「フンだ!イジワルユーコ!そんなこと言ってないで早くおいでったら、魚魚、凄いんだから」

「やっぱりね」

「そう、やっぱり子供やね!ファーストキスはまだまだ無理だわ」

「フン、おばさんどもめ!2人ともそこでおばあさんになるまで、茶飲み話をしてやがれ!」

「バカナツネ!海にたたき込んでやる!」

「うわ〜!ミヤちん逃げろ〜、おばさん達がきたぞ〜、あははは」

「まてっ!バカナツネ!」

沖縄楽しい〜♪

 しばらくはしゃぎ、ひとまず沖縄の海を満喫したあたし達は、はあはあ言いながらパラソルの下のビーチチェアで寛いだ。

 水中メガネで覗いた海中は、そこかしこで普通に熱帯魚が泳いでいて、南国の海を実感させてくれた。これだけでも来て良かったと思った。ミヤちんなんかはウミヘビを見たと興奮している。まさかね。

 喉が渇いたと言って、トモちゃんとユーコが飲み物を買いに行った。あたしとミヤちんはリクライニングしたビーチチェアの心地良さが手伝って、知らない間に寝てしまったようだ。


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