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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-7



後に続ける言葉を言った瑞稀はそこで言葉を区切った。
その後に言われる言葉に見当がつかない拓斗は終始首を傾げて、瑞稀の言葉を待つだけだ。

やっと頭を上げた瑞稀の顔は先程より、赤が増していた。

「そ、それに・・私・・。鈴乃が病室に戻ってきてくれる直前に、鈴乃のこと考えてて・・」
「え・・!?」

思いもよらない、下手したら告白としても取れそうな言葉に
拓斗は思わず声を上げた。拓斗の顔にも赤みが刺してくる。
一方の瑞稀は拓斗の様子などお構いなしで、自分の言葉で精一杯。
今の彼女に、拓斗を優先する余裕など無い。

「す、鈴乃の・・ぬ・・温もりが欲しくなって・・。ほら、時々頭とか撫でてくれた時のあの暖いの・・!」
「・・・」

もはや、なんにも言えなくなってしまった拓斗。
その顔は瑞稀に負けないくらい、真っ赤に染まっていた。

「あの時・・怖くて、不安で、寂しくて・・だから、温もりが欲しくなった・・。
それで・・思いついたのは鈴乃だった・・。なんでかは分かんないけど・・鈴乃のあったかさが、どこかに残ってたからかも・・しれないけど・・」
「・・あ・・」

その言葉で、思い当たる事。
瑞稀が緊急病院に保健室の先生の車で運んだ時、拓斗は瑞稀の無事を祈って無意識に手を握っていた。
まさか、その時の温もりが・・・。

「・・でも、来るわけないって思ってたから・・あの時、直後に鈴乃が戻ってきてくれたから、ビックリしたけど・・嬉しかったんだ。ありがと」
「・・いや、俺も・・戻ったら、ダメだって思ってたんだ。妙なプライド張ってさ。
でも、柊が『大切な奴が苦しんでんのにプライドなんか関係あんのか』って言ってくれてさ。それで、お前んとこ戻ったんだ。」

本当は、『大切な奴』じゃなくて、『好きな奴』の間違いだが、これを正しくしてしまうと、告白しなければならない流れになるので、遠慮した。
拓斗はそこまで言うと、瑞稀の頭を撫でた。

「・・・・うん、落ち着く・・」
「・・そうか?」
「うん。なんでだろーね?あ!もしかして、鈴乃の右手って癒しの手!?」
「なんだそれ」

意味が分からない瑞稀の言葉に拓斗は笑いつつも、いつもの瑞稀に戻ったことに安心した。そして、たった今思いついたこと。

「なぁ、八神。俺で、俺でいいなら、一緒に居て、お前の欲しい温もりを伝える。
だから、温もりが欲しくなったら、合図欲しい。」
「合図?」

拓斗としては、前半の言葉が大事で丁寧にいったのだが、後半の言葉に瑞稀は興味を示してしまって、スルーされてしまった。
それを残念な気持ちと悔しさと自分に対するやるせなさに苛まれながらも瑞稀の質問に答える。

「あぁ。俺にだけ・・わかるような合図。俺だけ分かったら、二人になったときに温もり伝えられるだろ?」
「・・・そっか・・。・・良いの?」
「当たり前だろ。お前の大泣き姿を初めて見た奴なんだろ?俺。だったら責任取らなきゃな」
「なっ・・〜・・っ!!」


まさか今ここでそんな仕返しが来ると思ってなかった瑞稀は、自分が言った言葉に少し後悔をしながらも何も言い返せなかった。
それに伴って、両頬の体温は上がっていく。

「・・バカっ!」
「アハハ。で?合図は?」

先ほどからお腹を抱えて笑っている拓斗を横目に、瑞稀は頭をフル回転させて悩む。
拓斗に仕返し出来る良い合図はないかと。
だが、自分が甘えさせて欲しいと頼むための合図なので、そこまでひどくすると申し訳ない。
そして、思い出したのは、二日前。
自分は拓斗を求めたときに呟いた三文字の単語・・。



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