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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-6



屋上に行くには、二つの扉がある。
三階の端にある音楽室のさらに上の階段と、三階の真ん中にある階段。
屋上は、基本的に開放されている。

瑞稀と拓斗は、音楽室の上にある階段から屋上に入った。
久々の屋上に瑞稀は大きく伸びをして風を感じた。
今これからしなきゃいけないことは忘れずに。
隣をチラッと見ると、拓斗も同じように風を感じていた。
同じことを同じタイミングでやった自分たちに、瑞稀は嬉しくなって小さく笑った。
その笑顔で、瑞稀の考えていることに気づいた拓斗も、照れつつも小さく笑った。

だが、いつもならもっと続くはずの笑いも、止まってしまった。

拓斗が、口を開いた。

「・・どうしたんだ?」
「・・・・」
「・・・お前らしくないし・・まだ怖いか?」
「・・・・・」
「・・もしかして、怪我、本当はヒドイのか?」
「・・・・・」

言葉が上手くまとまらない瑞稀は俯いたまま最後の質問には首を降った。
こんな瑞稀は初めてなので、拓斗もどうしていいか分からない。

「・・・・」
「・・・・」
「(・・・言わなきゃ・・ちゃんと!)」

拓斗がどうしようかと頭を悩ませてた時に、決心した瑞稀。
伝えられればいい。順番なんて関係ない。拓斗なら、汲み取ってくれる。

「やがm「ゴメンナサイ!!!」・・は?」

口を開いた瞬間、瑞稀の言葉が聞こえた。
それはいい。だが、『ゴメンナサイ』
意味が分からず、拓斗は首を傾げた。

「八神・・?ゴメンって・・」
「さっきっから・・気まずい感じで・・。ゴメン・・」
「いや、それはべつに・・」
「恥ずかしくて・・、ちゃんと話せないんだよ・・。」
「・・え?」

瑞稀の言葉をちゃんと聞けないまま、落ち着かせようとしていた拓斗の言葉が止まった。

・・・言え・・全部。言わなきゃ・・後悔するぞ瑞稀!

そう自分を奮い立たせた瑞稀は、顔を上げた。
凄く赤くなった顔で。
そんな顔で見上げられては、男子としては溜まったもんじゃないだろう。
案の定、拓斗の顔もすぐに赤くなった。

「・・・!」
「初めてだったんだ・・あんなに自分の為に大泣きしたの。それに、あんな姿見せちゃって・・自分じゃないみたいなあんな姿・・。しかも、一昨日の朝まで一緒に居てくれたのに・・。お礼言うこともしなかったし・・ゴメンナサイ!」
「いや・・一緒にいたのは俺も寝ちゃったからだし・・」

頭を下げた瑞稀に戸惑いながら、少し嬉しく思った。

瑞稀が自分のことを晒したのは、拓斗だったことが。しかも、人生初という。
それに、抱きしめたのは自分がしたかったという邪念からやったことなので、どちらかというと、謝らねければいけないのはこっちなのだが。
あえて、それは伏せておく。

「そ、それに・・」
「・・?」




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